「子どもには好きなことをして生きていってほしい。だから、まずは勉強。嫌いでもやらせなきゃ!」この大きな矛盾に、どれくらいの親御さんが気づいているでしょうか?
入学希望者が殺到する「キャピタル東京インターナショナルスクール(CTIS)」の理事長・佐藤崇弘さんは、「子どもの幸せと成功を願うなら、嫌いなことはいち早く切り捨てて、好きなことだけを追求させたほうがいい」と言います。
凝り固まった教育への概念が、多角的な方向に広がる新しい子育ての教科書『「好きなこと」を「好きなだけ」やればいい』から一部を抜粋してお届けします。
親がすべきは、「勉強しなさい」でなく、子の将来へのマネジメント
時代の激変に拍車がかかるなか、親がわが子のためにすべきことはなにか。
私は、時代を見ながらわが子の適性と「好き」を見極め、あるときは能力を伸ばし、あるときは「好き」のなかでより最適なほうへと向かわせる、いわばマネジメントであると思います。
わが子の「好き」がどうしても学力が必要な方向にある。たとえば医療にあるとしましょう。そのなかでも、わが子がどうしても医者になりたいというのなら、高度な学力は欠かせません。
わが子に「自分は医者になりたい」「自分の将来はここにある」という確固とした目標があるのなら、「そのためには医学部に入学する必要がある」「医学部に入るためにはこれだけの偏差値を取りなさい」という親の言葉も指導も、間違いではありません。それこそ中高生の段階から勉強漬けの毎日になることでしょうし、特に数学に関しては、並はずれた高い学力を身につける必要があります。これはもう、医学部入試の経験者たる私・佐藤が言うのですから、間違いない事実です。
ですが、わが子の本当の好きや志向が「医者」ではなくて「医療」であるのなら、勉強漬けの毎日や「勉強しなさい」という叱咤激励は、かならずしも必要とは限りません。
医療は医者だけでは成り立たない仕事です。看護師から薬剤師、検査技師もいれば、医療施設を運営管理する仕事もあります。医療法人を経営する経営者も欠かせませんし、医療機器を研究開発する技術者や、製薬企業の研究者を抜きにしても成り立ちません。
そして子どもは子どもで、志が医療であったとしても、人のお世話をすることが好きな子もいれば、顕微鏡をのぞき、コツコツと腰を据えて研究するほうが向いている子もいます。学力に並はずれたものがあったとしても、医者にもっとも必要な、人とのコミュニケーションは苦手とする子だっていることでしょう。
であれば、「この子は成績がいい。では将来は医者に」ではなくて、まずはわが子に「なぜ医者になりたいの?」と聞き、ともに考える。そして子の性格や志向、成績を見極め、わが子の「好き」を基準にしつつも、適性のある方向へとマネジメントしていく。これこそが、親の役割であるように思えます。
最悪なのは、「医療が好き? だったら医者になれ」「勉強して偏差値を上げなさい」と、闇雲にわが子の尻を叩くことです。
子どもが医療に興味を示す、あるいは成績がいいと、「だったら将来は医者に」という思考回路は、私も十分理解できます。かつての私自身もそうでしたから。ですがそれが、親の価値観を優先したものでないか、一度立ち止まり、じっくりと考えてみる必要があるように思います。
「好きなこと」を「好きなだけ」やればいい
2022年4月、東京・南麻布に「キャピタル東京インターナショナルスクール(CTIS)」が開校しました。既存のインターナショナルスクールとは一線を画す教育プログラムにより、入学希望者が殺到しています。世界で活躍する子どもを育てるために親がやるべきこととは? 子どもを伸ばす教育とは? 話題のインターナショナルスクール理事長が教える、新しい子育ての教科書です。