山崎さんの様々なお仕事への取り組み方を見ていると、すごく努力をしている人だなあと感じます。でも実は、「努力」という言葉を避けていたという山崎さん。努力をすることが苦手というお悩みに答えながら、努力について考えていただきました。
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私は努力することが苦手です。こんなに頑張ってどうなるの、というあきらめのような気持ちがまっさきにやってきてしまうからです。みんな何でそんなに頑張れるのか、不思議でもあります。どうしたら努力できるようになりますか。
(14歳・男性・中学生)
最近よく思うのですが、努力って良くも悪くも強い言葉ですよね。紙に書いてみると「力」という漢字が二つも入っているし、「根性」とセットにして使われやすいからか、意識しすぎるとちょっとプレッシャーにもなりやすい。人が努力しなくちゃと思うときって、その根底には、少なからず「不安を解消したい」という願いがあるんじゃないかと思います。「このままではダメだ」とか、「誰からも相手にされなくなるのでは」とか、そういう目の前の不安を解消するために「努力」を明確に思い描いた上で励むところがある。
というのも、少し脱線して個人的な話になるのですが、私は自信がなくて、自分に厳しく、もっと頑張らなきゃと思いすぎるあまり、他人にも厳しくなってしまうことがあります。でも「できていない」ところにばかり目が行ってしまうと、その先にはほぼ地獄しか待っていないので、生きづらいし、本当に悪い癖だなあとしょっちゅう反省していて。だからせめて口にする言葉から直したくて「努力」という言葉も意図的に避けていたのですが、質問者さんのおかげで改めて向き合うことができました。きっかけとなる質問を送ってくださり、本当にありがとうございました。
「どうしたら努力できるようになりますか」という質問へのお返事でこんなことを言うのは本末転倒かもしれませんが、どれほど一生懸命に努力したって、夢中でやっている人には勝てっこないです。なので、努力しようとしなくて良いと思います。ただこのままだと語弊があるので、もう少し続きを書きますね。どういうことを伝えたいかというと、そもそも、きっと努力に意味なんかなくて良いんです。努力と呼ばれるものの大体は泥臭いし、褒められないし、報われない。でも報われるかどうかなんていう基準は、「好きだから続ける」というシンプルな理由の前では、まったく本質的ではなくなってしまうから。
視点を変えて、偉人と呼ばれる人々の伝記を読んでみると、彼らは数えきれないほどの努力を積み重ねて、他人から見たら全然理解できない時間をたくさん過ごしています。あと、こんなことも感じます。彼らはきっと「努力と引き換えに報酬を得たい」という交換条件で燃える人ではなくて、「理屈とか結果とかどうでもいいけど、とにかくやりたい!」みたいな人なんだろうなあ、と。
誰に言われるでもなくやっていて、努力を努力と思わないくらい夢中になれて、採算なんて度外視していて、好きだけど、大嫌いにもなって、でも結局また好きになる。そんな堂々巡りを何周もしてしまうようなものが、質問者さんにも見つかりますように。
p.s.気が早いかもしれないけれど、好きでもないものを突き詰めるほど人生は長くないので、私はそういう「夢中になれるもの」を仕事にして生きていきたい。それが叶うなら、他に望むものは何もないかも。
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