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転倒予防の名医が教える 長生き足体操

2022.10.15 公開 ポスト

ちょっと転んだだけなのに…50代サラリーマンを襲った「慢性硬膜下血腫」の恐怖武藤芳照(整形外科医、医学博士)

最近、転びやすくなった、つまずきやすくなった……。歳や疲労、不注意のせいだと、甘く見てはいませんか? 転倒事故で亡くなる人は、なんと交通事故のおよそ4倍。骨折などのケガはもちろん、急性硬膜下血腫、脳挫傷といった、死や寝たきりにつながる恐ろしい事態を引き起こすこともあるのです。

転倒予防の第一人者、武藤芳照先生の『転倒予防の名医が教える 長生き足体操』は、そんな転倒を防ぐための知識とトレーニングを教えてくれる一冊。自分の身を守るために、若いうちに覚えておきたいことが満載の本書から、一部をご紹介します。

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誰に起こってもおかしくない!

転倒によって何が起きるのか。私は長年、転倒から学ぶために、たくさんの転倒事例を集めてきました。

下の図は介護が必要になった人の主な原因をまとめたものです。実に10人に1人以上が、転倒によるケガやその後の経過によって要介護に至ったことがわかります。

最近、印象に残ったのは、50代のサラリーマンの話です。彼はコロナ禍前のある夜、ほろ酔い気分で最終電車に乗ろうと階段を降りたときに滑って転び、軽く頭を打ちました。痛みもなく、コブもできていないので、そのまま帰宅。翌朝からも、それまで通りの日々を過ごしていました。

ところが、1か月後あたりから、歩くとちょっとふらふらするし、もの忘れがひどい。疲れやすいし、頭痛もひどい。どうもおかしいと病院の脳神経外科へ。すると「慢性硬膜下血腫」と判明し、幸い、手術で事なきを得ました

転倒は病気や骨折の「原因」にもなる

転倒で怖いのは、第一に、このような頭のケガです。死や寝たきりに直結することもある「急性硬膜下血腫」や「脳挫傷」などをきたす例もあります。年齢にかかわらず起きますが、特に、慢性硬膜下血腫は、高齢者では起きるリスクが高くなるので、知っておくことが重要です。

(写真:iStock.com/metamorworks)

転倒による「骨折」もよく見られます。とくに高齢者の場合、骨がもろくなっていることから、転倒で骨折をきたすことが多くなります。骨折自体も大変なのですが、骨折によって長期の入院や手術が必要になった場合、その間に、元々あった病気が悪くなったり、別の病気が起きたり、認知症が生じたりすることも少なくありません。

さらに、一度骨折すると、「骨折ドミノ」の危険性が高まります。たとえば、一方の大腿骨を骨折した人は、そうでない人に比べて、もう一方の大腿骨を骨折するリスクが約9倍といわれます。

片側の骨を折ることで、運動不足状態が続き、骨がさらにもろくなり、しかも反対方向の脚に負担をかけやすくなるなど、様々な要因が考えられます。骨折は骨折を呼ぶのです。

このように、転倒は、身体機能の衰えなどの「結果」でもありますが、病気や骨折などの「原因」にもなるのです。転倒を考えるとき、その両面をとらえることが重要です。

なぜ高齢者の「転倒」は危険なのか。それは高齢者が転ぶと、骨折や頭のケガなどに至りやすく、要介護や寝たきりになったり、時には命を奪われる危険性があるからです。

関連書籍

武藤芳照『転倒予防の名医が教える 長生き足体操』

「最近転びやすくなった」は寝たきりへの危険信号!? 病院や高齢者施設でも実践!死ぬまで歩ける足腰を座ったままの運動でつくる。

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転倒予防の名医が教える 長生き足体操

最近、転びやすくなった、つまずきやすくなった……というあなた。「年のせいだからしかたない」と、甘く見てはいませんか? 転倒事故で亡くなる人は、なんと交通事故のおよそ4倍。骨折などのケガはもちろん、急性硬膜下血腫、脳挫傷といった、死や寝たきりにつながる恐ろしい事態を引き起こすこともあるのです。

転倒予防の第一人者、武藤芳照先生の『転倒予防の名医が教える 長生き足体操』は、そんな転倒を防ぐための知識とトレーニングを教えてくれる一冊。自分の身を守るために、若いうちに覚えておきたいことが満載の本書から、一部をご紹介します。

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武藤芳照 整形外科医、医学博士

日本転倒予防学会初代理事長、東京健康リハビリテーション(総合研究所代表理事・所長)、東京大学名誉教授。1950年生まれ。名古屋大学医学部卒業後、東京厚生年金病院整形外科医長、東京大学教育学部長、同大学副学長などを歴任。ロサンゼルス、ソウル、バルセロナの各五輪で水泳日本代表チームドクターを経験し、国際水泳連盟医事委員なども務めた。地方自治体や各種企業・団体での講演多数。

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