山暮らしを始めて変わったものの一つに、食べたくないものが増えた、ということがある。
食べられないもの、ではない。食べたくないもの、だ。
それはジビエと呼ばれる野生動物の肉、鹿である。
わたしの住む家の周りには野生の鹿がたくさん住んでいる。鹿は賢く、「自分に危害を加えるもの」と「加えないもの」を判断し覚えるようだ。わたしなぞまだまだ認識してもらえていないが、近所のおじいさんは毎日声掛けしていたらかなり近寄っても逃げなくなったそうだ。家の玄関前でくつろいだりしていることもあるらしい。羨ましい。わたしも鹿に油断されたい。
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愛の病
恋愛小説の名手は、「日常」からどんな「物語」を見出すのか。まるで、一遍の小説を読んでいるかのような読後感を味わえる名エッセイです。