悪人はなかなかいない～『とんこつQ＆A』（今村夏子）鈴木涼美

90年代初頭の鎌倉のミッション系私立の小学校というのはある意味特殊な場所で、クラスは例外なく男10人、女30人の大奥のような雰囲気だったし、1日4回お祈りの時間があって、遠足というと必ず学校が所有する三浦の農園で田植えや芋掘りをさせられるのだった。ハンカチは白くて真四角で校章が入っているものを購買部で買わなくてはいけないし、靴下はグレーで縦線の入ったのを購買部で買わなくてはいけないし、鉛筆も緑色で学校名が印字されたものをやはり購買部で買わなくてはいけないので、今思えば商魂逞しいというか、ナントカ二世という宗教とお金の問題が日々テレビから流れてくる時代にあって割と笑えないのであった。