AKB48・チームKのメンバーで、2022年10月にグループから卒業することを発表した武藤十夢さん。気象予報士、ファイナンシャルプランナー、防災士などの資格を持っており、アイドルという枠にとどまらない多才ぶりでも知られています。
そんな武藤さんと、オリエンタルラジオ・中田敦彦さんが「学校では教えてくれない『お金の基本知識』が学べる一冊」と推薦する『誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方』の著者、今井孝さんの特別対談が実現。前編では、なぜ武藤さんはここまで頑張り続けることができるのか、そのモチベーションの源泉に迫ります。 (構成:石井晶穂 撮影:小池雅章)
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お金を受け取れないという強烈なブレーキ
武藤 今井さんの『誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方』を拝読して、驚いたことがあるんです。お客さんから対価をいただくとき、「自分にはこんな金額は受け取れない」と考える人が多いそうですね。
私は個人事業主として、16歳のときからアイドルの仕事をしてきました。頑張れば、頑張っただけ対価として返ってくる。それが当たり前だったので、お金をもらうことに抵抗がある人がたくさんいるのは、不思議だなと思いました。
今井 多くの人は、給料でしかお金をもらう経験をしていませんからね。自分が提供する商品やサービスに対する報酬として、お金をもらったことがない。だから、「これだけのことで、こんな金額をもらってよいのだろうか?」と、強烈なブレーキがかかってしまうんです。
それが、お金を生み出せない最大の原因です。スキルが足りないことでも、知識が足りないことでもなく、「お金を受け取れないこと」が問題なんです。
武藤 たしかに月いくらとか、1時間いくらとか、もらえる額が決まっていることに慣れていると、そういう感覚になるんでしょうね。
実はAKBも年俸制で、もらえる金額は決まっているんです。年俸が12分割されて、毎月決まった日に入ってくる。でも、自分の頑張りしだいで選抜に入れたり、次の大きな仕事につながったりするので、みんな一歩でも前に出たいと思ってやっています。
今井 年俸は決まったら、1年間は変わらないんですか?
武藤 はい、変わりません。頑張っても、上がるのは次の年なんです。契約更改のときに、自分はこれだけやったって。プロ野球選手みたいですよね(笑)。頑張ったから一気に上がる子もいるし、頑張らなかったから下がる子だっています。
今井 すごくいい仕組みだと思います。会社員だと、頑張っても頑張らなくても、給料はそんなに変わらないことが多いですから。今、日本経済が低迷しているのも、あまり働いていないおじさんがいっぱい会社にいるのが、原因のひとつだったりしますからね。本当は別の場所に行けば活躍できるのですが。
僕も会社員時代、新規事業を立ち上げたり、一生懸命やっていたんですけど、そんなに頑張っていない人と給料が一緒だったんですよ。
武藤 ああ、それはイヤですね。
今井 それも独立起業しようと思った理由の1つです。頑張らないっていう選択肢だと人生面白くないので、頑張るほうでいきたいなって。
7回落ちてもあきらめなかった気象予報士。なぜそこまで頑張れたのか?
今井 十夢さんも気象予報士の資格に何度もチャレンジしたり、頑張り続けている人生ですよね。
武藤 気象予報士の試験は7回落ちて、5年かかってやっと取りました。
今井 普通の人は、1回、2回落ちたらあきらめると思うんです。でも、十夢さんはあきらめなかった。どうしてそんなに頑張れるのか、モチベーションを知りたかったんです。
武藤 当時は、ものすごく自分に自信がなかったんです。今のままの自分には価値がないって思うくらい。AKBには歌がうまい子、ダンスがうまい子、トークがうまい子、いろんな子がいて、それぞれいろんな強み、持ち味を持っています。でも、私はどれも中途半端だった。自分の強み、持ち味は何かと考えたときに、「ああ、何もないな」って思ったんです。
だからこそ、頑張れたのかもしれません。もう自分にはこれしかない。もしこの資格が取れたら、もっと仕事が増えて、お金も稼ぐことができて、いろんな人に出会えるかもしれない。そんな明るい未来を見てみたいなって思ったんです。
今井 コンプレックスに押しつぶされるんじゃなくて、成長のバネにしたんですね。なかなかできないことだと思います。
武藤 今でこそ、インテリ系でなんでもそつなくこなせて、みたいなイメージを持たれがちですけど、そんなことはぜんぜんなかったんです。頑張って、頑張って、ここまで自分を変えてきたのが本当のところです。
あと、気象予報士の資格を取ろうと思ったきっかけは番組の企画だったんですが、ファンの方からいろんな声が届くんですよ。何度落ちても応援してくれる人もいれば、もう無理だろって言ってくる人もいる。応援してくれる人の声には応えたいし、無理だって言ってくる人は見返したいって思う。実は、めちゃくちゃ負けず嫌いなんですよ(笑)。それもモチベーションのひとつになったと思います。
今井 本当に十夢さんはエネルギーにあふれていると感じました。
武藤 ありがとうございます。でも、もし気象予報士の資格に落ち続けていたころ、今井さんの『誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方』に出会っていたら、たぶん泣きながら読んでいたと思います。
今井 本当ですか、それは嬉しいです。
武藤 本の最後に、「人生の充実度は、どれだけのチャレンジをしたかで決まる」「チャレンジすることが、自分の人生のストーリーになる」って書いてありましたよね。それを読んで、自分のやっていることは間違っていなかったんだって思えたんです。この言葉に出会えて、すごく嬉しかったですね。
資格マニアにならない、正しい自信のつけかたとは
今井 気象予報士に合格してからは変わりましたか?
武藤 はい。自分に自信が持てるようになって、しゃべり方や、立ち居ふるまいまで変わったんですよ。以前だったら「自分なんかがこんなことを言うなんて……」と一歩引いていたのが、堂々と前に出てしゃべることができるようになりました。
お仕事の幅も広がりました。お天気の仕事をいただけるようになって、そのうちクイズ番組の仕事もいただけるようになりました。でも、私はべつに頭がいいわけではないんですよ。学校の成績も悪かったですし(笑)。たまたま勉強を頑張れる力があっただけなんです。だから、クイズ番組に出るときはいつもドキドキしています。
今井 『誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方』に書きましたが、ただ資格を取っただけでは自信ってつかないんですね。まだ足りない、まだ足りないって、資格マニアみたいになっちゃう人ってけっこう多いです。もし心当たりのある人がいたら、資格をとってどうしたいのか、何がしたいのか、いったん振り返ったほうがいいと思います。
資格を取って終わりではなく、肩書をつけて、お金を生み出せるようになると自信ってつくんです。十夢さんの場合、ちゃんと仕事につなげられたからよかったんだと思います。
武藤 それはよくわかります。私も気象予報士、ファイナンシャルプランナー、防災士と、いろんな資格を取ってきましたが、やみくもに取っているわけではないんです。仕事をするうえで強みになるように、一つひとつがかけ算になるように心がけて、資格を取ってきました。
今井さんは、これまで何万人という人を指導されてきましたよね。いろんなタイプの人がいる中で、どうやって人を伸ばしているんですか?
今井 どんな人にも、強みってあるんですよ。何かしらビジネスになるものは、その人の中に必ずあるので、それを信じるのが僕の仕事なんです。
武藤 この人はどうすればいいんだろうって、悩むことはありませんか?
今井 最初のうちはもちろんあります。でも、わからないなりにセミナーを受けてもらったり、みんなと交流してもらったりすると、やがて見えてくるんですよ。でも、ほとんどの人は、やりたいことは最初から決まっているんですけどね。
みんな職業から考えるから、やりたいことが見えてこないんです。でも、しゃべりたいとか、教えたいとか、つくりたいとか、「何々をしたい」という気持ちはたいていの人が持っている。「したい」から考えていくと、やりたいことが明確になるんです。
武藤 でも、やりたいことを実現するのは、相当難しいですよね。
今井 もちろん、最初は難しいですよ。初めから大儲けできる人は、なかなかいません。でも、先ほど十夢さんがおっしゃってくれたように、チャレンジしていること自体が幸せなんです。人生において、チャレンジしたことは絶対にムダになりません。だからこそ、チャンレジすることをあきらめないでほしいんです。
(中編につづく)
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「好きなことだけして稼ぐ人になろう」。そんなことができるのは、特別な才能がある人だけでしょ? と思ったあなた、違うんです。お金に関する正しい知識さえあれば、私たちは自由に働きながら稼ぐことができます。これまで3万人以上の起業を成功させてきたカリスマ講師、今井孝さんの『誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方』には、そのノウハウがたっぷり。オリエンタルラジオ・中田敦彦さんも「学校では教えてくれない『お金の基本知識』が学べる一冊!」とオススメする本書から、一部を抜粋します。