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「丁寧」なのに仕事が速い人の習慣

2024.06.25 公開 ポスト

社員教育は「技術」の前にまず「マナー」 専門スキルが評価されるのは社内だけ池田輝男(池田ピアノ運送株式会社代表取締役)

「日本一、丁寧な仕事をする会社」をモットーに運送業界トップクラスの売り上げを誇る、池田ピアノ運送。常識を覆す施策を次々に取り入れ業界のイメージを一新してきた同社社長・池田輝男氏が、どんな業界でも通用するビジネスの絶対法則を紹介する書籍『「丁寧」なのに仕事が速い人の習慣』より、一部を抜粋してお届けします。

最初に教えるべきは技能よりもマナー

人材育成には順番があります。新たに人を採用したとき、あるいは人材育成をこれから始めるというとき、絶対に守ってもらいたい順番は、「技能よりも先にビジネスマナーを教える」ということです。

私たちの会社では専門のコンサルタントを呼んで指導してもらっていますが、必ずしも講師などを呼んで研修する必要はないでしょう。ただ、ビジネスをする上で、常識として知っておくべきことを学ぶ必要はあります。我が社では新人のみならず、引退して顧問になっている人間も含め、全社員が研修を受けています。

(写真:iStock.com/kazuma seki)

基本は会社の中でルールとされていることでいいのです。その多くはどこの世界でも通用するもので、社会人として技能よりも先に身につけるべきものです。

 

その理由は3つあり、まず「マウント合戦になるのを避ける」ということ。

ある種の技能が必要なとき、多くの職場で先に必要な技能を教えようとするのですが、すると新人同士で「技能ありきの競争」が起こってしまうことがあります。

たとえば飲食店などは典型的ですが、よくあるのはメニューやレシピを暗記させるようなことです。それだけならいいのですが、「俺はこれができるからエラい」とか、「これがやれるからお前よりも俺のほうが上だ」などと、優位性の争いがすぐに社員同士で起こってしまいます。

とくに売上がほしい現場だと、技能性をとかく競わせるようなことがありますから、皆が自分のことばかりで、お客さまを見て仕事をする人がいなくなってしまいます

 

ビジネスマナーを優先させるべき2つ目の理由は、「あとからマナーを教えるのはとても労力がかかる」ということです。

これは1つ目の「マウント合戦になるのを避ける」ということにも関わっていて、人は技能がある程度身につくと、初歩的な基本に立ち返るのを嫌がるのです。

「自分はすでにスキルを身につけた。だからマナーのような初歩的なことは、もういい」と考えるわけですね。

こうしてマナーの習得をせずに実践に踏み出してしまった人は、致命的な欠如を背負ってしまう可能性があります。プライドを捨てる決意をしない限り、成長が止まってしまって、次の段階に進めなくなってしまうでしょう。

専門的なスキルは社内でしか評価されない

仕事のスキルより、先に教えるべきはビジネスマナーである。

その最後の理由は、「そもそもお客さまは、スキルなど見ていない」ということです。

いや、スキルがあるかどうかは、仕事のパフォーマンスを定めるのに重要なことでしょう?……そう、あなたは思うかもしれませんが、実際に自分が誰かに、何らかの仕事を頼んだ場合を考えてみればすぐわかります。

お辞儀をする男女の写真

たとえば、冷蔵庫の修理を依頼した場合を考えてみましょう。修理業者がやってきて、1時間ほどかけて修理が完了し、業者は帰っていきました。冷蔵庫は元通りに修理され、また使えるようになりました。

確かに、これは嬉しいことです。

でも、心を震わせるくらいの感動があるかといえば、それほどではありませんよね。

なぜなら、修理を依頼して相手がやってきたのだから、最後に冷蔵庫が直っているのは当然のことだからです。

 

でも、実際はここに、ものすごい修理の裏ワザがあったかもしれない。他の人なら2時間とか3時間かかるところを、たまたまこの修理業者だったから、優れたスキルによって1時間で済んだのかもしれない。あるいは同業者だったら一目でわかるほど、その修理の仕上がりは、美しいものだったのかもしれません。

しかしほとんどの人は、その価値など判断できないのです。せいぜい機械好きの人が感心するだけ。

もちろん社内では尊敬を集めるかもしれませんが、専門的なスキルなど、結局は社内でしか評価されないものなのです。

 

ところが「マナー」の領域なら、どうでしょうか?

たとえば修理のために冷蔵庫を移動させたとき、設置場所の埃まみれの壁や床を、ピカピカになるまで掃除してくれた。あるいは古い冷蔵庫を特別な洗剤で拭き、長年取れなかった汚れを全部、落としてくれた……。

このときは「そんなことまでしてくれるの?」と、感動してしまいますね。

修理してもらった事実よりも、こうしたサービスには心を動かされます。

(写真:iStock.com/Chainarong Prasertthai)

つまり、お客さまが喜ぶのは技術でなく、立ち居振る舞いや所作など、マナーや意識に属する行為なのです。お客さまはそれを注視していないかもしれませんが、仕事後の印象には明確に残ります。

「いい修理屋さんだったね」と印象に強く残るのは、腕のいい修理屋さんでなく、明らかにマナーのいい修理屋さん。それは、自社のビジネスを「サービス業」としてデザインし、社員に教育しているところにしかできないことです。

だから優先すべきは、技術よりもマナーになるのです。私はよく「技能の差は僅差。人の差は大差」と言っているのですが、即戦力がほしい会社ほど、余裕をもってスタッフの教育を考えるべきです。

*   *   *

この続きは書籍『「丁寧」なのに仕事が速い人の習慣』でお楽しみください。

関連書籍

池田輝男『「丁寧」なのに仕事が速い人の習慣 感謝され、利益も2倍になるビジネスの絶対法則』

利益2倍! 特殊輸送業界No.1に成長させたピアノ運送業者が教える、ビジネスの絶対法則とは? 仕事のミスが多い新人から、働き方をアップデートしたいベテランまで必読! すべてのビジネスパーソンに役立つ「丁寧仕事術」を大公開。

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「丁寧」なのに仕事が速い人の習慣

運送業界トップクラスの売り上げを誇る、池田ピアノ運送。「日本一、丁寧な仕事をする会社」をモットーに、常識を覆す施策を次々に取り入れ、業界のイメージを一新したことでその地位を築きました。同社社長・池田輝男氏の最新刊『「丁寧」なのに仕事が速い人の習慣』では、具体的にどのような改革を行ってきたのかを大公開。どんな業界でも必ず通用する、ビジネスの絶対法則は必読です。

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池田輝男 池田ピアノ運送株式会社代表取締役

1970年、千葉県野田市生まれ。専修大学商学部商業学科ならびに中小企業大学校経営者コース卒業。私立大学事務職員を経て、42歳で池田ピアノ運送株式会社の代表取締役に就任。グループ5社220名のスタッフと12営業所を束ね、ピアノ・大型家電・フィットネス器具や、OA機器・通信設備機器・音響製品・印刷機器など大型精密機器の全国配送・設置工事のほか、大型モニターを使用したオンライン環境提供サービス、企業研修コンサルティング等を手がける。「丁寧さと迅速さ」を信条に、同社をピアノ運送業において業界売上トップクラスの企業に成長させた。人生のミッションは「日本一、お客さまからありがとうを集めること」。

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