ずっと自分が嫌いで嫌いでたまらなかった
人は多かれ少なかれ、時代の空気にさらされて生きる。私はいわゆる「氷河期世代」だが、少し前の世代で流行した「自分探し」ブームはすでに終わり、どちらかというと「探すとか探さないとか言う前に今を生きないと」という雰囲気があった。そんななか、個人的には20代あたりで、「自分を好きになりましょう」という空気を感じていたように思う。かけがえのない自分を、好きになろう。そのために自分を磨こう──そうした風潮が、世の中全般に満ちていた。素晴らしい体型のモデルが雑誌でライフスタイルを伝えていた。そうした時代の空気のなか、私は自分をひどく嫌っていた。同世代の方が「自分を好きになれません!」とご相談をくださるたびに、かつての自分が蘇る。30代前半くらいまで、好きなところなど何ひとつなかった。自分は自分の欠点を一番よく知っている。意地悪で狭量で、他人への期待ばかり大きい自分。人間関係ではうまくやっていけないし、勉強も仕事もできない。恋はすぐに破れ、結婚したと思えば別れ、細く長くあってほしかった脚は太く短いのであった。
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