生き方
「湖」が文字となって記されているとき、その奥深くに、不穏な物事が潜んでいるように思ってしまうのは、私だけだろうか。もともと、そんなふうに思っていたわけではない。アウトドア好きとしては、キャンプや釣り、カヌーなど、湖畔での遊び方はいろいろ思い付くし、海のように潮気がなくべたつかないのもいいところ。本書の舞台である琵琶湖ほど大きな湖であれば波風が立つこともあるけれど、どちらかというと海とは違い、湖には静寂を連想することが多い。そんなふうに魅力的であるにもかかわらず、私の中で輝かしいイメージばかりでないのは、どうも湖が登場する多くの小説に起因するようだ。
ここから先は会員限定のコンテンツです
- 無料!
- 今すぐ会員登録して続きを読む
- 会員の方はログインして続きをお楽しみください ログイン
本の山の記事をもっと読む
本の山
- バックナンバー
-
- 勝敗を超えたところに見るものは -『いま...
- 奇談好きなリーダーが導く新たな生きる活力...
- 辛い状況にあっても新しい道を切り拓く家 ...
- 「なぜ写真を撮るのか」をしっかり知るべき...
- 引退競走馬の未来に光が当たるということ ...
- シンプルな行為の中にも人それぞれの思いが...
- 当事者による文学が問う健常者の「無意識の...
- 事実を知ることは人の命を尊ぶこと -『黒...
- いちばんしたいこととはいちばん大切なもの...
- 知らない世界だからこそ自由に想像できる ...
- 守りきれたものは、いずれかたちを変えて自...
- サーカス - 誰しもが自分の居場所を見つ...
- 物語と料理が一体となって、読者の記憶に残...
- 北の大地を舞台にした熱気溢れる壮大なドラ...
- 「初心者目線」を保ち遭難者を発見する -...
- 「ものを書く」行為に突き動かされる理由ー...
- 大切なものを手放すことの難しさ -『よき...
- 各国の歴史的背景を学び、死刑の是非を自ら...
- 現実世界にも通じる奮闘を応援せずにいられ...
- 偽りの巡礼者 稀有な旅人の喜び -『天路...
- もっと見る