
シンガーソングライター、俳優、コメンテーターなど、マルチに活躍する泉谷しげるさん。発売されたばかりの著書、『キャラは自分で作る どんな時代になっても生きるチカラを』も話題となっています。いつも豪快で、暴れん坊なイメージがある泉谷さん。ところが、意外なことに「本当は臆病で小心者」だといいます。そんな泉谷さんに「キャラをつくる」ことの大切さと、そのコツをこっそり教えてもらいました。
* * *
性格は変えられないが増やすことはできる
── 泉谷さんといえば、二言目には「バカヤロー!」が飛び出す暴れん坊のイメージがありますが、そのキャラクターはどこから生まれたのでしょうか。

自分の育った環境ですね。大工のせがれなので、「バカヤロー!」「コノヤロー!」は当たり前でした。うちの父親は、よく左官とケンカしていましたね。酒を飲んだら、暴れるし。自分もよく殴られて、体が飛んでいました(笑)。でも、ある意味楽しかったですよ。
── 一方で、泉谷さんは「自分は臆病で小心者だ」とおっしゃっています。
やっぱり、まわりが怖い人ばかりだったからね。でも、自分はああなりたくないと思いつつ、惹かれる部分もあるんですよ。キャラクターとして魅力があるというか。
自分もあんなふうに「バカヤロー!」と言いたいんだけど、臆病だし、乗り物酔いもするし、内弁慶にもならない情けなさで。「どうやったら、ああいう人間になれるのかな?」というのはありますね。
── そんな泉谷さんの憧れのキャラクターは「孫悟空」だそうですね。
目上を目上とも思わない、自己中心的なところに惹かれますね。自分が世界一だと疑わない、あの思い上がり。なのに、どこかかわいげがあるんです。三蔵法師に弱みを握られたりして。どんなに強いやつでも、勝てないものがある。そんなところにも魅力を感じます。
孫悟空のようなハチャメチャなキャラって、人間の憧れだと思うんです。獣に近いというか、人間的ではないというか。それで自分は、孫悟空的なキャラを演じているんです。ぬいぐるみを着ているのと変わらないね。自分の弱さは誰よりわかっていますから。
── この本でなるほどと思ったのが、「性格は変えられないけど、性格は増やせる」という言葉でした。
性格っていうのは、変えようとしたって変えられるものではないですよ。どうしたって自分には弱いところがあるんだから、それはしょうがない。
でも、子どもから大人になって、大人から老人になっていくと、昔は食べられなかったものが食べられるようになったりするでしょう。できることが増えていくように、性格を増やすことはできるはず。
── 「こういうふうになりたい」と思ったときに、キャラをかぶってみると、性格が増えていくのかなと思ったんです。
キャラをかぶっているとけっこうラクですよ。なんでもキャラのせいにできるからね。それで、そのうちキャラが自分になっていったりして。
よく「本当の自分をわかってほしい」って言いますよね。ウソつけって(笑)。「本当の自分」なんか、十秒後には変わるものですよ。「今の本当」でしかなくて、明日には違う自分になっているかもしれない。だから、「本当の自分」なんて気にしないのが一番です。
自分の弱さときちんと向き合おう
── この本のサブタイトルは「どんな時代になっても生きるチカラを」ですが、これには泉谷さんのこだわりがあるそうですね。

歴史の本を読んでいると、どの時代でも生き残るのって意外と弱いやつなんですよね。逆に、スーパーヒーローって早く死んじゃうし、悲惨な人生だったりする。弱くて、負けちゃって、こそこそ逃げ回っているやつのほうがうまく生きているんです。
だから、弱さを武器にすればいいんですよ。「これ、怖いからやめておこう」っていう感覚は、とても大事だと思う。そうすれば時代の犠牲にならないですむし、ヘンな政治闘争にも巻き込まれずにすむ。怖いからイヤだって、逃げちゃったほうがいいんです。
── 泉谷さんはコロナや物価高、環境問題など、社会問題についてすごく考えていらっしゃいますよね。
病気もあるし、戦争もあるし、いつどうなるかわからない世界的状況ですよね。自分だけの問題じゃなくて、イヤでもみんなの身に降りかかってくる。そのとき弱さだけではやっていけないのもわかるんだけど、いまこそ自分の弱さとちゃんと向き合って、より本能的になる、野生化するということが大事だと思うんだ。
── どうすれば野生化できるのでしょうか?
やっぱり締め切りがないとやりませんよ。天から降ってくるわけないので、自分でつくり出すしかない。
まず、自分のダメさ加減を徹底的にチェックする。そして、このままじゃイヤだからあんなふうになるんだと、締め切りをつくって訓練する。人間なんてもともと何もなくて、知識という教育によってつけ加えた安心感を持っているだけですよ。でも、いまはそれが通じないから、みんな不安感を抱えている。
昔の人は、風を読んで「明日は雪が降る」ことがわかったでしょう。第六感のようなものがあった。それは、その人のなかに恐れとか、弱さがあるからですよね。弱いからこそ、本能で危険をキャッチしていた。
残念なことに、いまの人は風を読もうともしません。だからこそ、本能を鍛えて、野生化して、風を読むことが大事なんです。
※本記事は、 Amazonオーディブル『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』より、〈【前編】泉谷しげると語る「『キャラは自分で作る どんな時代になっても生きるチカラを』から学ぶ自分らしい生き方」〉の内容を一部抜粋、再構成したものです。
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AIの台頭やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進化で、世界は急速な変化を遂げています。新型コロナ・パンデミックによって、そのスピードはさらに加速しました。生き方・働き方を変えることは、多かれ少なかれ不安を伴うもの。その不安を克服し「変化」を楽しむために、大きな力になってくれるのが「教養」。
『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』は、“変化を生き抜く武器になる、さらに人生を面白くしてくれる多彩な「教養」を、30分で身につけられる”をコンセプトにしたAmazonオーディブルのオリジナルPodcast番組です。
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この連載では『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』の中から気になる部分をピックアップ! ダイジェストにしてお届けします。
番組はこちらから『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』
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