セックスレス化が進んでいるといわれる日本人カップル。性の悩みはなかなか人に相談できないものですが、そんなときあなたを助けてくれる一冊があります。半世紀以上、5000人の女性と向き合ってきた「AV界の生ける伝説」、代々木忠監督の『生きる哲学としてのセックス』です。真のオーガズムとは何か、精力増強には何がキクのか……。性に悩むすべての男女へ捧ぐ本書、その中身をこっそりご紹介します。
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「相手の体を使ったオナニー」をしていないか
セックスか、それとも相手の体を使ったオナニーなのかは、セックスするときの「二人の形」からもわかる。
気持ちの入っているセックスでは、正常位でしているとき顔と胸が相手に近づいていく。女性の上半身がグーッと持ち上がって、顔と下半身の2点でつながる格好になる。
だが、相手の体を使ったオナニーだと、女性がアゴを上げて上半身を「のけぞらせる」姿勢になる。つまり2人が下半身だけでつながる格好なのだ。
たとえば『ザ・面接』の現場でこんなことがあった。
審査員を務めていた女性が、一徹にモーションをかけた。彼女が主導権を握り、一徹をリードする形でセックスが始まる。その動きにはいっさいの無駄がなく、見せる技も芸術的と言っていいくらい美しかった。正直言って、僕も久しぶりに撮らされたという感じだった。
彼女は一徹を平らげたあと、『ザ・面接』初出演の二村ヒトシに向かい、ヒトシからも一滴残らず搾り取った。二人の男優を相手に、いやらしいポーズをとり、結合部を見せながらのセックスは、「ヌク」には十分だったと言えるだろう。
でも、彼女のセックスは相手の体を使ったオナニーだった。というのも、最後はヒトシが彼女の下でイカされるのだが、ヒトシの上半身が彼女に近づこうと起き上がりかけたとき、彼女の上半身はうしろに倒れるように離れていった。これは下半身はつながっているが、気持ちはまったく溶け合っていないセックスの典型である。
彼女もまた目の前の相手とセックスせず、自分の欲情をあおる妄想や思考の中でセックスしていたというわけだ。
こんなセックスは心が空しくなるだけ
それはヒトシだけでなく、その前の一徹とのセックスでも顕著に表れていた。彼女がセックスの最中、一徹に繰り返した「可愛い!」という言葉である。
彼女は年下でイケメンの一徹としているとき、「可愛い!」を連発した。「濡れちゃう!」「気持ちいい!」とも言っていた。しかし、ただの一度も一徹を見て言おうとはしなかった。そればかりか、顔じたい違う方向に向いている。
こうなってしまうのは、相手に伝えたい思いではなく、自分で自分に言い聞かせたい言葉だからだ。つまり彼女は「こんな可愛い男を犯している」という思考と、下半身の快感をドッキングさせることで、みずから興奮の度合を高めていたのである。
こういうセックスは、AV作品としては悪くない。いやむしろ見栄えがするという点でいえば、見る人を十分満足させられるだろう。
だが、どんなに見栄えのするセックスでも、相手の気持ちとつながらなければ、しょせんは自己完結であり、オナニーに過ぎない。そこからは決して恋愛も始まらない。感情をともなわないセックスでは、何度も言うように結局心が空しくなるだけなのだ。
自分がセックスをしているのか、それとも相手の体を使ったオナニーをしているのか、よくわからないという人もいるかもしれない。そんな人は自分がしているセックスの形をふり返ってみるといい。
気づけばのけぞってしまう、あるいはみずから上半身を合わせないとしたら、それは相手の体を使ったオナニーかもしれない。
人間、心はごまかせても、体のほうはごまかし切れないことがある。ごまかしのきかない体をモニターすれば、隠れた本音が見えるのではないだろうか。
生きる哲学としてのセックス
セックスレス化が進んでいるといわれる日本人カップル。性の悩みはなかなか人に相談できないものですが、そんなときあなたを助けてくれる一冊があります。半世紀以上にわたり、5000人の女性と向き合ってきた「AV界の生ける伝説」、代々木忠監督の『生きる哲学としてのセックス』です。真のオーガズムとは何か、精力増強には何がキクのか……。性に悩むすべての男女へ捧ぐ本書、その中身をこっそりご紹介します。