伝説のAV監督（84）が実践 「腹式呼吸」と「瞑想」こそセックスの最高のトレーニング代々木忠

セックスレス化が進んでいるといわれる日本人カップル。性の悩みはなかなか人に相談できないものですが、そんなときあなたを助けてくれる一冊があります。半世紀以上、5000人の女性と向き合ってきた「AV界の生ける伝説」、代々木忠監督の『生きる哲学としてのセックス』です。真のオーガズムとは何か、精力増強には何がキクのか……。性に悩むすべての男女へ捧ぐ本書、その中身をこっそりご紹介します。

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いいセックスをする人は呼吸が深い

セックスするには、相当量のエネルギーがいる。体を動かすだけでなく、気持ちよさを感じるにもエネルギーが必要になる。加えて、エネルギーがスムーズに流れる状態も。

ではエネルギーを確保し、それがスムーズに流れるためにはどうすればいいのか。いちばんのおすすめは、「深い呼吸をすること」である。

深い呼吸とは腹式呼吸のことだが、僕の経験から言って、深く力強い腹式呼吸ができる人はいいセックスをする。こういう人はたいてい何か運動をしていたり、体をよく動かしている。

逆に、体を動かしてこなかった人、頭であれこれ考えるタイプの人は感度があまりよくない。現場でセックスしても「マグロ状態」になってしまい、絵にならないことも少なくない。こういう人は決まって呼吸が浅い。

人は何かを考えているときには、呼吸を止めていたりもする。つまり、呼吸が十分にできていないために、酸素不足が続き、エネルギーもうまく回らず、感度が落ちてしまうというわけだ。

だからこそ、「イケない」「あまり気持ちがよくない」という人は、ぜひ腹式呼吸を意識してみてもらいたい。ふだんより少し深い呼吸を意識的にするだけで、感度がアップするはずである。

 

参考までに、僕が習慣にしている呼吸法を紹介しよう。

一度口から息を全部吐いて、鼻から4秒吸って、口から6秒吐く。うまく腹式呼吸をするコツは、息を吸うときに背骨側の内臓を下にグーッと押し下げること。こうするといい感じでお腹が膨らんでくる（横隔膜が下がる）。

一方吐くときは、できるだけ均等に空気が出ていくよう、お腹の力をキープしながら少しずつ抜いていく。くれぐれも喉を絞って吐いてはいけない。あくまで横隔膜を使って呼吸することを意識してみてほしい。

この腹式呼吸ができるようになったら、次はヘソの下あたりに空気を落とし込むような意識をもって吸い、横隔膜をコントロールしながらゆっくりと空気を体外へ出してあげる。そのような呼吸へ切り替えていただきたい。

 

僕の場合、この腹式呼吸を1日に少なくとも20～30分は行うが、5～10分程度でもそれなりの効果が得られる。セックスのみならず健康維持にもいいので、毎日の習慣にしていただきたい。

セックスの技を磨くより瞑想をしよう

それと、もうひとつおすすめしたいのが、呼吸とともに行う「瞑想」である。

「瞑想」は心を落ち着かせ、感情やエネルギーの流れをよくするのにたいへん役立つ。「マインドフルネス」として流行しているが、定義も方法もさまざまなので、いまひとつよくわからないという人も多いと思う。

そこで、僕が毎日行っている、呼吸を組み合わせたシンプルな瞑想の方法をお伝えしよう。

一度全部吐き出したあと、自然に入ってくる息を吸いながら、心の中で「生きとし生ける者たちが」と念じ、吐き出しながら「どうぞ幸せでありますように」と念じる。つまり、一呼吸の間に、「生きとし生ける者たちが、どうぞ幸せでありますように」と心の中で語るのだ。

他愛ないおまじないのように思われるかもしれないが、瞑想が体によい影響をもたらすことは科学的に証明されている。瞑想に関しては専門書もたくさんあるので、詳しくはそちらをご覧いただきたいが、ここで紹介したシンプルな方法は初心者にも比較的やりやすいと思う。

 

ちなみに、瞑想するときは、楽な姿勢でリラックスして行うといい。気分がリラックスできるなら、座っていても寝転がっていてもかまわない。言葉を念じるというと、真剣にやらなくてはと構えてしまうかもしれないが、リラックスしながら自分にやさしく言い聞かせるようなつもりで言うと、気持ちが安定してとても楽になる。

僕は朝目覚めたとき、寝たままの状態でこの瞑想を行うのだが、長いときで1時間くらいやってしまうこともある。そのくらい「呼吸＋瞑想」は、やり慣れると気持ちがよくなってくるのだ。

「呼吸と瞑想だけで、そんなに効果があるの？」と思う人もいるかもしれないが、セックスの技を磨くより、これを続けるほうがずっといいセックスができるようになる。ぜひ一度試してみていただきたい。