世界共通語だといわれるサッカー。でも、サッカーを語る言葉にはそれぞれの国の文化や歴史が反映されているのです。語学は仕事や資格のためのものだけではありません。サッカーを通じて、言語の多様さや深さに触れてみるのはいかがでしょうか? 『DO YOU SPEAK FOOTBALL? 世界のフットボール表現事典』より、昨年ワールドカップカタール大会での日本対戦国の言葉を一部抜粋してご紹介。二戦目のコスタリカは痛恨の敗戦でした。
Costa Rica コスタリカ
フットボールに熱狂的な国、コスタリカの代表チームは、中米最高の成績をあげており、北中米カリブのタイトルを3度獲得したのに加え(1963年、69年、89年)、ワールドカップにも5度出場している(1990年、2002年、06年、14年、18年)。ワールドカップ・デビューとなった1990年イタリア大会ではベスト16に進出、2014年ブラジル大会ではイングランド、イタリア、ウルグアイという「死のグループ」を見事に首位通過して準々決勝まで勝ち上がった。
caballo カバーリョ 馬
身体的に恵まれているために痛烈なキックをお見舞いしてしまいがちな選手。
mejenga メヘンガ 草サッカー
フットボールがすべてに君臨するコスタリカでの生活に欠かせないメヘンガとは、友人が集まって行う普段着のフットボールの試合である。この言葉の最初の使用記録は、アルトゥーロ・アグエロ・チャベス“Diccionario de costarriqueñismos”(コスタリカ隠語俗語辞典)によると、19世紀前半という。元は酒の入った馬鹿騒ぎや喧嘩沙汰のことだった。その後、草サッカーの試合を指すようになり、今では様々なスポーツの試合全般を指して使われる。
milpa ミルパ トウモロコシ畑
コスタリカでオフサイドのこと。語源はサンホセ市街地西部にあった旧エスタディオ・ナシオナル「国立競技場」に遡る。1940 年代末、スタジアムは未完成で、西側ゴール裏にはまだ観客席がなかった。そこで、スタジアム警備員は国のスポーツ総局に、空き地でラディッシュやトマトやトウモロコシを栽培していいか尋ねた。売って収入の足しにしようと思ったのだ。なんと、要請は許可され、野菜畑は本当に出現して、その後何年もそこにあった。そして、スタジアムで試合をするチームは、相手選手がどれくらいオフサイドだったか強調したい時には、主審に“Está en milpa!(エスタ・エン・ミルパ!、「トウモロコシ畑まで入ってるじゃないか!」)”と訴えるようになったのである。解説者がこのジョークを全国に伝えたため、いつの間にかオフサイドを指すデフォルトの用語になった。
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DO YOU SPEAK FOOTBALL?
『DO YOU SPEAK FOOTBALL? 世界のフットボール表現事典』に学ぶ自由で豊かなサッカーの言葉