「赤ちゃんパンダの数え方は『1匹』? 『1頭』?」
NHK放送文化研究所・用語班には全国のNHK放送局からのことばの相談が日々集まります。時代とともに移り変わることばに、知識や見識を持ち寄って激論を交わし、限られた時間で答えを出すこの「ことばの専門家チーム」の名回答を厳選した書籍『NHKが悩む日本語 放送現場でよくあることばの疑問』より、一部を抜粋してお届けします。
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Q. 4月末から5月初めにかけての連休について「ゴールデンウイーク」と「大型連休」という言い方を見たり聞いたりします。放送では、どちらを使うか決めているのでしょうか。
A. 原則として「大型連休」を使うことにしています。
「ゴールデンウイーク」(黄金週間)は、連休で観客の入りがよかったため、この期間中に大作をぶつけるようになった映画界が、宣伝も兼ねて作り出したことばで、昭和27(1952)年ごろから一般にも使われるようになったようです。
しかし、1970年代の石油ショック以降、「のんきに何日も休んではいられないのに、なにがゴールデンウィークだ」といった電話が放送局に何本もかかってくるなど抵抗感を示す人が目立ってきました。
また、「外来語・カタカナ語はできるだけ避けたい」「長すぎて表記の際に困る」など、放送の制作現場の声もありました。そのうえ、週休2日制の定着で前後の土曜・日曜を加えると休日が10日ぐらいになることもあり、ウイーク(週間)も的確な表現ではなくなってきました。このため、放送では原則として「ゴールデンウイーク」は使わず、「大型連休」を使っています。
ところで、「大型連休」という言い方も、同じニュースや番組の中で何度も繰り返して言われると耳障りな場合があります。「大型連休」という語を安易に繰り返すのではなく「今度の(春の)連休で……」「この連休(連休期間)中に……」「4月末からの連休で……」「この○○日から始まる連休で……」など、ときには別の言い方や伝え方を織り込むような表現上の配慮や工夫も必要です。(豊島秀雄)
NHKが悩む日本語
2023年4月19日発売『NHKが悩む日本語 放送現場でよくある ことばの疑問』(NHK放送文化研究所・著)の最新情報をお知らせします。