AV界の巨匠が語る「左脳でセックスをする人」は真のオーガズムを得られない武器になる教養30min.編集部

「インターネットや雑誌に載っているテクニックを読んでも、セックスがうまくなりません……」。そんなお悩みに対し、新刊『人生を変えるセックス 愛と性の相談室』を上梓したアダルトビデオ界のレジェンド・代々木忠監督は、「テクニックよりも大切なものがある」と答えます。それはいったい、どんなことなのでしょうか？　心から最高と思えるセックスをするために、心がけるべきことを教えていただきました。

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「セックスがうまくないといけない」という固定観念は一度捨てよ

──「インターネットや雑誌に載っているテクニックを読んでも、セックスがうまくなりません」。この質問に、監督はどう答えますか？

女性用の風俗で働いている男性なら、いろんなテクニックを身につけるべきだと思います。でも、そうでないなら「セックスがうまくないといけない」といった考えから一度、はずれたほうがいいと思います。

なぜなら、テクニックばかり気にしていると、自分の頭の中とのやり取りが優先されてしまうからです。目の前の女性と向き合うことが、絶対におろそかになります。

多くの男性がこの罠にはまり、セックスでいちばん大切なぬくもりや、思いやりや、喜びを取り逃しています。そればかりか、本当にたくさんの女性たちを失望させてきました。

 

対人的感性を育てなければ、本当のセックスのよさはわからないし、幸せはどんどん遠のいてしまいます。おたがいに見つめ合い、ぬくもりを肌で感じ合う。その瞬間、瞬間を大切にしてほしいですね。

そして、セックスが終わったあと、思わず「はぁ、幸せだ」という言葉が出ること。僕はそれがいちばん大事だと思います。

 

── 中には「セックスよりもオナニーのほうが気持ちいい」という人もいます。

気持ちよさでいえば、セックスよりも自分でしたほうがいいでしょう。いちばん感じるところを知っているのは自分ですから。でも、自慰行為では得られないものがセックスにはあります。それが「心がイク」オーガズムです。

自慰行為がよくないと言っているわけではありません。一瞬、我を忘れるような快感は得られます。ストレスも解消できます。若さを保てるという報告もあります。でも、感動をともなう喜びを得ることはできません。

なぜなら、自慰行為は感情を使っていないからです。楽しさや嬉しさ、愛おしさ、思いやりや喜び、至福感。これらはすべて感情から生まれるものです。ですから当然、感情を無視したセックスからもオーガズムを得ることはできません。

 

── オーガズムを経験すると、何が変わるのでしょうか？

「私って身勝手だった」「私は人の気持ちをあまりに無視してきた、恥ずかしい」。真のオーガズムを経験した女性たちから、僕はこうした言葉をたくさん聞いてきました。

オーガズムを経験すると、先ほど申し上げた対人的感性が芽生えます。相手の苦しみや喜びを、共有することができるようになるんです。そして、利他の心が芽生えてくる。利他は、利他と共鳴します。それは生きていくうえで、貴重な財産になります。人生を豊かなものにしてくれるんです。

脳科学に教わった右脳の重要性

── 監督は読書家としても知られていますが、おすすめの一冊を教えてもらえますか。

ここ数年でもっとも影響を受けたのは、TEDスピーチで世界的に有名になった脳科学者、ジル・ボルト・テイラー博士の『奇跡の脳』ですね。彼女は37歳のときに脳内出血で倒れ、8年もの間、左脳の機能を失いました。

つまり、右脳だけの世界を生きたわけです。自分の名前も忘れてしまうし、どこからどこまでが自分であるかもわからなくなる。人間は右脳で感じたことを、左脳で整理しているわけですが、それがまったくできない状態です。

僕がいちばん興味を持ったのは、その状態が究極のオーガズムと同じだということです。仏教でいう「梵我一如」の世界、宇宙と一体化している状態。これはすごいなと思いました。

最近、テイラー博士は2冊めの本を出されました。それが、『WHOLE BRAIN（ホール・ブレイン）』です。この本では、右脳と左脳、どちらにも思考と感情があると書かれています。

 

── ふつうは左脳が思考、右脳が感情という分け方をしますよね。

その通りです。簡単に説明すると、「左脳の考えるキャラ」 は「私」を重視する。「右脳の考えるキャラ」は「私たち」を重視する。「左脳の感じるキャラ」は条件つきで愛す。「右脳の感じるキャラ」は無条件で愛す。と、こういことを博士は書いているわけです。

 

僕の経験上、左脳でセックスする人は、イクことができません。過去の体験が心の傷になって、セックスを楽しめないという人は、まだなんとかなります。僕は催眠をやりますから、意識を書き換えれば異性を愛することができるようになる。

でも、唯一、お手上げだったのが左脳でセックスをする人たちでした。左脳が働いて「かくあるべきだ」という刷り込みや、思い込みに縛られている人は手に負えません。それはテイラー博士がおっしゃっていることと、すごく通じるものがあるなと思うんです。

 

※本記事は、 Amazonオーディブル『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』より、〈【後編】代々木忠と語る「『人生を変えるセックス　愛と性の相談室』から学ぶ人生を豊かにする方法」〉の内容を一部抜粋、再構成したものです。

 

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