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まだ本当のことを言わないの?

2023.06.02 公開 ポスト

中国依存からの脱却で経済安全保障を強化する動きを歓迎フィフィ

YouTubeやツイッターで国内外のニュースを発信し続けるエジプト人のフィフィさん。その歯に衣着せぬ提言、論調には、YouTubeやツイッターのフォロワー数あわせて102万人を集めるなど、絶大なる支持を集めています。

そのフィフィさんが上梓した『まだ本当のことを言わないの? 日本の9大タブー』では、外国人の目線だからこそ気づく日本の深い闇について、9つのジャンルからズバズバと斬り込んでいます。

「私の頭の中が丸ごと一冊の本になった」とご本人が言う、本書の一部を公開します。

*   *   *

経済安全保障の必要性

昨今、経済的手段によって安全保障の実現を目指す、「経済安全保障」の必要性が世界中で叫ばれています。

日本でも、2022年5月11日、経済安全保障に関する法律が可決・成立しました。法律が成立した背景はいくつかありますが、ひとつには、間違いなく、日本の〝中国依存〟があげられると思います。日本のみなさんもコロナ禍で痛感されたのではないですか。

国民が一斉に買い求めたマスクは、7割近くが中国製だったということがわかりました。

一時期は国内がマスク不足になって、みんな戦々恐々としていました。このときの不足の原因はコロナ禍で需要が増大したことですが、平時であってもマスクを必要とする人はいます。それなのに、「日本にはもうマスクを輸出しません」と中国が言えばどうなってしまうのでしょう。医療関係者にマスクは絶対必需品です。

国民が生きるために欠かせない物資の供給を特定の国に依存するのは、とても怖いことだと身をもって学びました。

(写真:iStock.com/Choreograph)

ときに外交手段のひとつとして、輸出をストップさせる事態も起き得ます。実際、2010年9月に尖閣諸島沖で中国船の船長を日本側が逮捕したタイミングで、中国がレアアースの日本への供給を制限したことがあります。船長の逮捕に対する中国側の報復・圧力だったという説もあれば、たまたまそのタイミングだっただけで、中国はもともとレアアースの日本への輸出を制限するつもりだったのではないかという見解もありました。

また、2023年になってからも、中国は「国家安全のため」にレアアース磁石の製造技術の輸出禁止を検討していることを公表しています。

いずれにしても、中国に頼り切っていると、あちらの匙加減ひとつで日本は大変な目に遭ってしまいます。

日本に限らず、特に製造業においては、人件費や材料費などの安さから、中国で生産、あるいは部品を調達している国は少なくありません。中国は「世界の工場」と言われているほど。

とはいえ、他の先進国と比べても、日本の中国への依存度は高く、内閣府の調査によると、2019年時点で、日本が海外から輸入している品目のうち、携帯電話やパソコンなど1000を超える品目で、輸入額に占める中国の割合が50%を超えていることがわかりました。ちなみに、アメリカでは590品目、ドイツでは250品目となっています。

内閣府は、輸入先の中国で何らかの供給ショックや輸送の停滞が生じた場合、日本はアメリカなどに比べて多くの品目で代替が難しく、大きなリスクがあると指摘しています。

台湾有事が起きるなどして、中国との敵対関係が明確になったとき、1000を超える品目が日本では枯渇する可能性があるわけです。

(写真:iStock.com/Tanaonte)

こうした理由もあって、日本では〝脱・中国依存〟の動きが徐々に進んでいます。

政府は2020年度から、生産拠点の国内回帰や多元化を図るための補助金を企業に支給しています。補助金の正式名称は、「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」。

2020年度に203件、2021年度に151件、2022年度に85件の事業者が、それぞれ採択されています。これまで中国の工場や生産ラインなどに投資してきた日本企業にとって、中国からの撤退は勇気が要ることです。しかし、先のリスクを考え、また円安などの事情もあって、生産拠点を日本に戻す、または、別の国に移す日本企業が増えているのです。

この動きに私は賛成です。軍事的安全保障面でも然りですが、経済的安全保障面を考えても、中国とは、はっきり距離を置くべきなのです。

中国は、何をしでかすかわかったものではありません。

2022年12月にゼロコロナ政策を転換してから、中国ではものすごい勢いで感染が広がりましたよね。危惧した日本は、中国からの入国者に対する水際対策を強化したのですが、これを受けて中国は、日本人を対象にした新規のビザ発給業務を停止しました。

中国側は「差別的な入国制限への対抗措置だ」と説明しましたが、要するに、日本の水際対策にブチ切れてしまって、わけのわからない対抗措置を取ったのです。

中国からの入国者に対して水際対策を強化したのは日本だけではありません。韓国は日本よりも厳格な対策を取っており、同じく中国の対抗措置によりビザ発給業務を停止されていますが、日本に対するほうがより厳しくなっているんです。

どういうことなのでしょう⁉

(写真:iStock.com/Tony Studio)

日本人に対するビザ発給の停止は短期間で解除になりました。そりゃそうでしょう。日本人の入国を禁止して困るのは中国です。経済が止まってしまいますからね。「じゃあ、最初からそんなことはしなければいいのに」と思いますが、やってしまうところが中国なんです。人民に対するポーズの意味もあったのでしょう。

このままでは経済面でも大変なことになってしまいます。日本の企業は〝チャイナリスク〟を回避すべく、中国から脱却したサプライチェーンを構築していくのが正解でしょう。

2023年3月、北京に駐在する日本企業現地法人幹部の日本人男性が北京市の国家安全局に「反スパイ法」違反の疑いで拘束されましたよね。中国側は具体的なことを明らかにしていません。見せしめのためとか、情報を得るためとか、拘束の目的はいろいろと取り沙汰されていますが、いずれにしても、事実関係を明らかにしないで身柄を拘束するのは人権侵害だという批判の声も方々であがっています。

今回に限ったことではありません。反スパイ法が施行された2014年以降、この男性を含めて、少なくとも17人の日本人の拘束が確認されています。

状況がはっきりしないだけに、「いつ自分が拘束されるかわからない」と、日本企業の駐在員は戦々恐々としているといいます。

このようなことが起きると、会社側もチャイナリスクを意識せざるを得ないのでは?

 

「第2章 (中国の脅威)中国を好きにさせていいんですか? このままじゃ日本が乗っ取られる!」より

関連書籍

フィフィ『まだ本当のことを言わないの? 日本の9大タブー』

外国人目線だからこそわかる日本の深い闇。国家安全保障、政教分離、ジェンダー問題など、日本人が知らない実態を赤裸々に告発! どうにかしないと、ほんと日本はやばいですよ!!

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フィフィ

1976年エジプト・カイロ生まれ。中京大学情報科学部卒。2011年の「アラブの春」に際して綴ったブログが注目を集め、以来、国内外のニュース(社会問題、政治、芸能)を中心に発言。テレビ、ラジオ、ウェブメディアなどで活躍している。サンミュージック所属。著書に『日本人に知ってほしいイスラムのこと』『おかしいことを「おかしい」と言えない日本という社会へ』。

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