発売からわずか1ヵ月で20万部という話題のベストセラー『夢と金』。金が尽きれば、夢も尽きる!現代日本人の全てが、読まずに通り過ぎてはいけない一冊を、本人自ら深堀り!
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(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ)
『お金の問題』と『命』が紐づいていることは、知っておいた方がいい
今日も最新刊『夢と金』を深掘りしていきたいと思います。
今日は12ページの『知識不足で命を落とすな』をピックアップします。
すでに『夢と金』を読まれた方は、ここでパンチを食らってると思いますが、このブロックでは基本、日本の親や日本の先生に説教しています。
「日本の自殺」の問題を取り上げているのですが、ちなみに、日本の自殺率は世界8位で、先進国だとブッチギリで1位なんです。
そして「自殺の動機」の上位には、「生活の困窮」がきています。
これは言い変えると、「お金が無くなったら、自ら命を断つ確率が上がる」ということですね。
ここで引っかかってくるのは、「お金が無くなったら、自ら命を断つ」というデータがとれているのにも関わらず、日本の親や日本の学校の先生は子供達に「お金」の話(勉強)をしないということ。
彼らは、頑張って産んで、頑張って育てた愛する我が子の自殺率を上げる手伝いをしているわけですが、僕には、なんでそんなことができるのか1ミリも理解できないので、『夢と金』の冒頭で「アンタら、自分達が何をやってるか分かってる?」とガン詰めしています。
冒頭から説教されるという恐ろしい本です。
ただ、「『お金の問題』と『命』が紐づいている」ということは、やっぱり知っておいた方がいい。
そして、「日本の自殺」について、もう少し把握しておいた方がいいと思うので、まずは、そのあたりから深堀っていきましょう。
日本の若者の「自殺の状況」は、世界的に見ても稀
まず、「日本の自殺の状況」ですが、「日本の自殺者」については、2022年で、ちょっと上がりましたが、近年は減少傾向にあります。
ただ、ここから先がかなりネガティブな結果が出ていて、厚生労働省が出している「人口動態統計」によると、年齢別の死因で、40歳以降の1位は「がん」なんですけども、
15~39歳の1位が「自殺」なんです。
これは世界的に見てもかなり稀なケースで、少し前のデータですが、厚生労働省が出している「自殺対策白書」の中で、先進7カ国の15~34歳までの死因は先進国(フランス・ドイツ・カナダ・アメリカ・イギリス・イタリア)では1位に「事故」がくるんですけども、日本だけ1位が「自殺」なんです。
自殺の動機に関しては、様々な理由が連鎖しているので(「生活の困窮から、鬱になって、その鬱が原因で」みたいなのがあるから)、「これ!」と言い切ることって難しいのですが、先に上げたとおり、動機の一つに「お金の問題」が入っているのは間違いない。
フィリピンやラオスで見た「貧困の連鎖」は、対岸の火事ではない
次に、「貧困は連鎖する」ということもお話ししておきます。
コロナ中は行けませんでしたが、僕、フィリピンの凄く貧しい地域に年に2回ぐらいのペースで絵本を贈りに 行っていたんです。
その中でも「ハッピーランド」という場所があって、ここはアジア最大級のスラム街と言われてたりします。
皆、ゴミの上に住んでいるんです。
たぶんタガログ語で「捨てる」を意味する「ハピラン」から、「ハッピーランド」という名前が付けられたんだと思います。
雨の次の日とか、すごい匂いで、歩いていると、道路脇で「パグパグ」という料理が売っているんですけども、これはファーストフードの残飯の中から鶏肉などを集めて、再び油で揚げたものです。
日本円にして、30円ぐらいだったと思います。
そこで子供達と遊んだり、一緒にご飯を食べたりしていると、ある違和感を覚えるんです。
何かと言うと、子供達の目がキラキラしていて、笑顔も溢れていて、「貧困」に対してのストレスをあまり感じて無さそうに見える。
絶対的貧困ではあるんだけど、その世界しか知らないから、そうなっちゃうのかもしれない。
「ここから早く抜け出したい」という気持ちが芽生えにくいのかもしれない。
それはそれで一つの幸せなのかなぁと思いきや、大人はそうじゃないんですね。
大人は「食っていかなきゃいけない」「家族を守っていかなきゃいけない」というリアルな問題を抱えていて、貧しさもちゃんと把握している。
これは「ラオス」という国に行った時もそうでした。
ラオスには小学校を寄贈しに行ったんですけども、小学校を寄贈する前にも何度か通ったんですね。
ララ村という山奥の小さな村では、子供達が無邪気に走り回っているんですけども、大人は自分達の村の貧しさを知っていて、頭を抱えています。
で、そんな地域の大人が求めているのは「子供達の教育の機会」なんです。
お金が無いので、子供達を「労働力」として使わざるをえなくて、おかげで子供達は「教育」を受けずに大人になる。
教育を受けずに大人になった子供達は、知識や技術を身につけていないので、安い賃金の仕事にしかつけなくて(仕事の選択肢が少ない)、結局、自分の子供を「労働力」として使わざるをえなくて、子供に「教育の機会」を与えてやれない。
そうやって「貧困の世代間連鎖」が起きるんですね。
これは極端なケースですけども、ただ対岸の火事じゃないと思っていて、程度の違いはあれど、「お金がないと満足のいく教育を受けさせてやれない」という残酷さは日本も同じなわけで、そして満足のいく教育を受けることなく育った子供達は、限られた職業の中から仕事を選ばなくてはいけなくて、また自分の子供達に満足のいく教育を与えられない。
日本の親には、貧困の連鎖を食い止めることができる可能性がある
ただ、フィリピンのスラム街やラオスと、日本の違うところは、日本は「親の意識」を変えるだけで、この負の連鎖を食い止めることができる可能性があるんです。
貧さを嘆きながら、Twitterで不毛な論破合戦をしていたり、ワイドショーでタレントの不祥事に正義の鉄槌を下したりしているわけで。
その時間は削って、本を読む時間に充てればいいじゃないですか。
その時間を「学び」の時間に充てれば、自分が自分の子供に教えれるわけじゃないですか。
フィリピンのスラム街やラオスと違って、日本の親には「勉強して、子供達に教える」という選択肢があるのに、それを自分から放棄して、自分から子供達の教育の機会を奪って、子供達の知識と技術を奪って、そして、子供達の職業の選択肢を減らして、自分から子供達を貧しくしている。
挙句、「お金の話をするなんて、はしたない」とか言い出す始末。
ずっと何やってんだよ。
『夢と金』を書いている間、「このバカみたいな負の連鎖は僕らの代で終わらせようよ」ということをずっと思っていました。
この放送をお聴きのお父さんお母さん、そして学校の先生にお願いです。
子供達の為に、もう少しだけ勉強しませんか?
最新刊『夢と金』には、生きていく上で必要な「お金の知識」をたんもりと書きました。
大切な人、守りたい人、そして子供達に贈ってあげてください。
(撮影:イシヅカマコト)
※このコーナーは、西野亮廣の公式ブログより転載しています。(一部修正アリ)
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キングコング西野が自ら『夢と金』解説
発売わずか1カ月で20万部を突破した、話題のベストセラー『夢と金』。
著者は、キングコング西野亮廣。絵本、映画、ミュージカル、歌舞伎…と日々エンタメを生み出している一方で、ビジネスモデルも構築し、圧倒的な実績を残しているという唯一無二の存在が、自らの経験から得た知識を、余すところなく、一冊に書き切った!
まさに、現代日本人の全てが読まずに通り過ぎてはいけない一冊を、本人自ら解説。
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