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経済的に成功している人は、人に優しい
そんなこんなで今日は「貧しさ」と「攻撃性」というテーマでお話ししたいと思います。
これを言うと批判もそこそこありそうなので、普段なかなか言いにくいところではありますが、皆さんの周りにいる“経済的に成功している人”って、ものすごく人格者だったりしません?
なんか大きくて優しかったりしません?
「え? それを許しちゃうんだ」みたいなことを平気でやったりする。
僕、以前、新幹線のグリーン車に乗ってる時に「椅子を倒していいですか?」と後ろの席の方に断りを入れて、リクライニングを倒したことがあって……その時(ちょっと説明が難しいんですけども)、後ろの席の人が窓にかけていた(服のタグで引っ掛けていた)コートを僕の椅子が後ろに押し込む形になって、結果、服のタグを千切ってしまったんです。
すぐに立ち上がって目を見て「すみませんっ!」と言ったら、もう「大丈夫ですよ~」という落ち着いた笑顔で、「いえいえ。これは私のミスです。余計な気持ちにさせてしまってすみませんでした」と逆に謝られたんです。
僕を落ち着かせる為に、あの笑顔を作って下さったんだと思うんですけども、大切なコートのタグが切れたことで気持ちが揺れ動いた感じが1ミリもなかったんです。
その人を見てみると、身なりから、もの凄く品があって、明らかに経済的に成功している感じなんです。
#あの笑顔は忘れられない
「優しさ」は後天的なものなのか、先天的なものなのか?
一方で、いわゆる「クレーマー」と呼ばれる人達の中に、こういう「明らかに経済的に成功している人」って、あんまり見当たらない。
経済的に成功しているから余裕が出て、人に優しくなれるのか?
それとも、人に優しくできる人だから経済的に成功したのか?
つまり、「優しさ」というものが後天的なものなのか、それとも先天的なものなのか? という問いがある。
そして「貧しさ」と「攻撃性」には因果関係はあるのか? という問いがある。
この答えを探すヒントとなるようなことなんですけども……
作家の橘玲(たちばなあきら)サンが『バカと無知 ~人間、この不都合な生き物~』というご著書の中で、「徹底的に社会的な動物である人間は、集団としての自尊心が低下すると攻撃的になるが、それは同時に、個人としての自尊心が揺らいだ時もきわめて危険だ」と書かれています。
この話がメチャクチャ面白かったんですけども、日本人の「反韓・反中」のノリってあるじゃないですか?
僕はまったく理解できないし、支持もしませんけども、でも、確かにありますよね。
「先に、攻撃してきたのはアイツらだ」的な。
ただ、この「反韓・反中」が叫ばれるようになったのって、2009年頃からなんですね。
その前は、あるにはあったのかもしれませんが、あんまり無かった。
僕と同世代の人は頑張って当時の記憶を思い出していただきたいんですけども、学生時代に「韓国許せない」とか言ってるヤツ、一人もいなかったでしょ?
ただ、韓国や中国は昔から「反日」なんです。
「先に攻撃してきたのはアイツらだ」という言い分に整合性をもたせるのであれば、日本も昔から「反韓・反中」であるハズなのに、そうはなっていない。
経済的に貧しくなると、人は攻撃的になる
これですね、日本が「貧乏臭く」なっていく過程と(「アジアで一番」という自尊心が揺らぎ始めた時期と)、「反韓・反中」の声が大きくなり始めた時期がビッタリ重なってるんです。
昔は、韓国や中国が「反日活動」していても、歯牙にもかけてなかった。
「へぇ、そうなんだ」ぐらいに思ってたけど、中国に抜かれ、韓国にエンタメでボロ負けしたあたりから、「なんだよ、アイツら」となった。
Twitterも気がつけば、どんどん攻撃的になってると思いませんか?
誰かを批判するか、論破するか、あるいは、五輪の開会式のクリエイターを片っ端から攻撃して「キャンセルカルチャー」を巻き起こすか。
どうやら経済格差が広がると、自分が虐げられていると感じる層が増えて、自尊心が揺らいで、その結果、人は攻撃的になるみたいです。
「優しさ」を「先天的なもの」と言い切れない理由はこれです。
「優しい子に育って欲しい」と願うお父さんお母さんは、「自尊心が揺らぐと、経済的に貧しくなると、僕らは優しさ(余裕)を奪われ、攻撃的になる」ということは頭に入れておいた方が良さそうです。
最新刊『夢と金』では、生きていく上で絶対に必要な「お金の知識」が学べます。
大切な人、守りたい人、そして子供達と一緒に読んでみてください。
(撮影:イシヅカマコト)
※このコーナーは、西野亮廣の公式ブログより転載しています。(一部修正アリ)
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