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僕が過去に経験した、悲しくてやりきれない話
今、『ボトルジョージ』という短編アニメーションを作っておりまして、昨夜、その『ボトルジョージ』の監督の堤大介さんと、プロデューサーの松本紀子さんと3人でお食事に行かせていただいたんです。
堤さんは「トンコハウス」というチームで、松本さんは「ドワーフ」というチームで、そして僕は「CHIMNEY TOWN」というチームで、それぞれスタッフを抱えているから、空中分解しないように、「ちゃんと目標や思想、あるいは疑問を共有しておきましょう」と松本プロでデューサーが席を設けてくださいました。
こういうのは本当にありがたいですね。
そういう席ですから僕の方からも普段言えない本音も出すわけですが、そこで松本プロデューサーから、「西野さんって、悲しくなったりしないんですか?」と質問されて、これも正直に答えようと思って「悲しくてやりきれないことだらけですよ」と答えたんです。
「え? 毎日、楽しそうな西野に悲しくてやりきれないことなんてあるの?」という疑問を持たれる方もいらっしゃると思うので、今日は、僕が過去に経験したお話を共有したいと思います。
「西野の場所が、もし、自分だったら」と考えながら、お付き合いください。
これは、西野の中では「あるある話」なんですけども、数年前、とある作品を制作する時に、とあるスタッフさんにお声がけさせていただいたんです。
「はじめまして」の方です。
「こうこう、こういうプロジェクトがありまして、もし良かったらお力をお貸しいただけますでしょうか?」と。
向こうは僕のことを詳しくは知らないので、お友達のクリエイターさんに「西野さんとお仕事をすることになりそうなんだけど、どういう人?」みたいな調査をしたところ、「なんかよく分からないけど、なんか『詐欺みたいなこと』をしてるとか……だから、やめておいた方がいいよ」とお友達からアドバイスをされたんですって。
で、お声がけさせていただいたスタッフさんからウチのスタッフの方に「なんかよく分からないですが、西野さんは『詐欺みたいなこと』をしてるそうじゃないですか。それだと、ご協力できません」というお返事をいただいたんですね。
で、結果を先に言うと、このスタッフさんとはお仕事をご一緒させていただくことになるわけですが、なぜ、話が前に進んだかというと、色々と調べてみたところ、お友達の方が言っていた「西野がやっている詐欺みたいなこと」の正体が発覚して、それが『クラウドファンディング』だったんです。
クラウドファンディングというものを日本に広める時に(2012年あたり)、僕、メチャクチャ詐欺師扱いされたんです。
名前が売れている人間で、クラウドファンディングをやっているヤツなんて当時いなかったので、もう集中放火もいいところです。
でも、クリエイターさんや、文化や、あらゆるチャンスを守っていこうと思ったら、皆の選択肢の中に「クラウドファンディング」はあった方がいいわけじゃない?
なので、「いつか分かってもらえる、いつか分かってもらえる」と思いながら、ひたすら布教活動を続けたんです。
その度に「詐欺師」扱いされながら。
これは「オンラインサロン」の時もそうです。
今となっては「クラウドファンディング」も「オンラインサロン」も皆やってるから、今さら、クラウドファンディングをやったところで、今さらオンラインサロンをやったところで「詐欺師」とは言われなくなりましたが、「西野が詐欺みたいなことをやってた」という記憶だけが残っているんですね。
で、スタッフさんとの話が前に進んだのは、そのスタッフさんがたまたま最近、クラウドファンディングを初めてやって、「クラウドファンディングってイイわね。メチャクチャ助かったわ」となった直後だったんです。
「いやいや、あなたのお友達が言っている『詐欺みたいなこと』って、それなんです!」と。
「クラウドファンディングを広める時に、『詐欺師』扱いされたんですけども、クラウドファンディングって選択肢の一つとして良くないですか?」と(涙)
そこで、「ああ、そういうことか。ごめんなさい」で話が前に進んだんですけども、ずっと、この繰り返しなんです。
殴られて、誤解を解いて……を10年以上繰り返している
先日、『阿波踊りのVIP席問題』があったじゃないですか?
「1万5000円は高い!」という。
僕の放送を聴いてくださっている方や、それこそ『夢と金』を読んでくださった方からすると、「何してんのよ、徳島!」となったと思うんですけども、あれは別に、徳島だけの話じゃなくて、信じられないかもしれませんが、僕が知る限り、お笑い業界、演劇業界、音楽業界の9割は、あの感じなんです。
だから、「VIP席を5万円にして……」みたいなことをやると、身内から「銭ゲバだ~!」「詐欺師だ~!」と攻撃されるんです。
「違うんだ。あなた達の生活を守る為に、あなた達の才能を守る為に、これは必要で、これは誰も損をしていないの。そして、このお金は僕の懐には1円も入ってないの!」……この繰り返しです。
説明すると、皆、「なるほど、そういうことね」となるわけですが(時々、「言ってもらわないと分かんないよ」とか言われることもあるんですけども)、僕の身体は一つしかないので、一人一人に説明して回ることができないんです。
アンチに攻撃されるとかは、動機が「妬み」や「嫉妬」なので屁でもないんですけども、自分が守りたくてたまらない人からの攻撃って、本当に悲しくてやりきれなくて、一回殴られて、誤解を解いて、また次の業界に行っては殴られて、誤解を解いて……を10年以上続けている感じです。
今日は最後にダイノジ大谷さんがFacebookに投稿してくださった『夢と金』の書評を紹介して終わりたいと思います。
読んだよ
西野 亮廣君
これは素晴らしい本当に
読みやすくて
わかりやすくて
要点がまとめられててこれを売る過程も見てたけど
それも含めて
こうすればいいんだよって教えてくれるできないって人もいるかもだけど
ここまでわかりやすくしてくれてるんだから
まずは読むだけでもお金教育
性教育この国で一番優先的に進めないとね
俺はシングルマザーの支援とか増やしたい
そう 心から願っているでもそのためには政治家の揚げ足だけとって批判するだけじゃどうも変わらない
もちろん選挙にもいく
政治のことも知る
それと同じくらい
子どものときからお金の教育をするべきなんだと思う本当に弱い人を助ける
弱い立場の人を救う本当にそれが正しいのか
考えてみてはどうだろうか?バンドマンやライブハウス経営の人とかにも読んで欲しいなぁと思った
一部の人はまたどうせ宗教だとか
信者の金集めとか言いそうだけどね
でも諦めてはいけない
ちょっとずつ変わっていくしかない
変えていくしかない本当に心から願う
すごくわかりやすくて読みやすくて
しっかり深い
それ(金)に目を背けることが
一番優しくねぇよ(ダイノジ大谷)
本当なら、全員が「文化を守る為の知識」を持った状態でスタートできた方が建設的だと思うので、最新刊『夢と金』は全てのクリエイターさんに読んでいただきたいです。
皆でキチンと勉強して、皆が「正しい優しさ」を手に入れる日を願いながら、今日もめげずに頑張ります。
(撮影:イシヅカマコト)
※このコーナーは、西野亮廣の公式ブログより転載しています。(一部修正アリ)
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