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『「遅咲きの偉人」に夢を見るな』にこんなコメントがありました
前回、最新刊『夢と金』の中から「一日でも早く学んで、一日でも早く勝て」という話をさせていただきました。
一般的には「20代で生まれた差は、一生埋まらない」という西野の言い分に対して、「やなせたかしサンは60歳過ぎてから成功してるじゃないですか!」という頓珍漢な反論をいただいたので、まずは「あなたは『やなせたかし』じゃない」という断りを入れた上で、「やなせたかし」サンが若い頃からいかに努力されて、若い頃からいかに結果を出されているか? その経歴をご紹介させていただきました。
これに対して、面白いコメントをいただいたので、その中から二つ、ご紹介させていただきます。
一つ目は「阿部将一」さんのコメントです。
『遅咲きの偉人に夢を見るな』。今まで大して努力をしてこなかった人が遅咲きの偉人に夢を見て『○○が成功したのは60歳から! 私にもチャンスがある』と言って、自分と偉人を重ねる。
自分に都合の良い情報だけを得て、都合の良い解釈をする。
この世のほとんどの人間はこのパターンだ。自分が凡人であることを認めない。
(途中略)
『20代で努力した差は埋まらない』これもその通りだろう。
遅咲きの偉人は成功した箇所だけを抜き取られ、もてはやされる。
しかし実際は若い頃から努力し、試行錯誤を繰り返している。
その結果が遅く出ただけだ。
人の価値観は急には変わらないのと同じように、人の努力の差も急には縮まらないのだろう。
なぜなら、努力をするクセ、行動するクセがついているからだ。そのクセをつけるのは20代が最後のタイミングだろうし、20代では遅すぎるぐらいだ。
価値観やクセは積み重ねなので20歳ごろまでに構築されてしまう。
遅咲きの偉人に憧れるのは宝くじを買ってるだけに過ぎない。
『私は毎日、宝くじを買っています! どうだ、すごいだろう!』と言ってるようなもんだ。
そういう人には『わあ! すごいですね!』と言ってあげよう。
もう、「ごもっとも」すぎるお話ですね。
「これまで、大して努力をしてこなかった人が遅咲きの偉人に夢を見て『○○が成功したのは60歳から! 私にもチャンスがある』と言って、自分と偉人を重ねる」とは、まさに。
二つ目は「ぺるこ」さんのコメントです。
いつか、絵本を出版したい。
おばあちゃんになるまでに出版できたらいい……なんて思ってて、30歳になった時にふと気が付いたんです。
あれ? 今出版できてないのに、おばあちゃんになったら出版できるなんて、何の根拠もなくない! と……。
いや、今すぐ出版を目標にしないとダメでしょ! と。
これも、また真実ですよね。
僕、出版関係の人達と仲良しなので、彼らのことをよくよく知っていますが、彼らには、これまで大して努力をしてこなかった何者でもないお婆ちゃんにチャンスを与える義理がありません。
だけど、なんか「おばあちゃんになるまでに出版できたらいい」とか考えちゃうんですね。
「正常性バイアス」と「同調性バイアス」
偉人に夢を見て『○○が成功したのは60歳から! 私にもチャンスがある』と言って、自分と偉人を重ねたり、「お婆ちゃんになるまでには」と考えちゃったりするのって、おそらく、「正常性バイアス」や「同調性バイアス」が働いてると思うんです。
「正常性バイアス」というのは、異常なことが起こった時に「大したことじゃない」と落ち着こうとする心の安定機能のことです。
津波で逃げ遅れる人の中には、歩いて避難する人がいたりするんですけど、まさに、アレです。
「同調性バイアス」というのは、危機的状況が迫っているのにも関わらず、周りの人達がそこまで動いていないから、そこに合わせてしまう心の動きのことですね。
「みんな逃げてないし、大丈夫」というアレです。
「20代で努力をしない」というのは「火事」や「津波」と同じように危機的状況なんですけども、「まぁ、たしかに努力をしてる人もいるけど、まだ、大丈夫だろう」とか「私の周りの人達は、そこまで努力をしていないし、まだ大丈夫」と思ってしまうのは、まさに「正常性バイアス」や「同調性バイアス」だと思います。
なんで「俺もいける」と思えちゃうんだ?
それに対して、最新刊『夢と金』では「いや、無理だよ。このままだと、お前、死ぬから、走れ」と書かせていただきました。
それが「20代で生まれた差は、一生埋まらない」です。
という話を昨日させていただいたところ、もうビックリするコメントをいただきました。
「伊能忠敬はどうですか?」
伊能忠敬というのは、50歳から天文学を学び始めて、55歳頃から測量調査を始めて、日本中を歩いて、日本地図を作った偉人中の偉人ですね。
前回の話を聞いて、まだこんなコメントを出すのが人間なのでしょう。
もう一度言わせてください。
「お前は、伊能忠敬じゃない」
なんで「伊能忠敬がいけたから、俺もいける」と思えちゃうんだ?
そして、伊能忠敬のことをご存知ないようなので、少しだけ教えてあげるけど、あの人、17歳ぐらいで伊能家の当主になって、危機的状況だった伊能を10年で立て直して、20代中盤には財を築いて、天明の大飢饉が起きた時は私財を投げ打って、村の人達に米や金銭を分け与えて、村から一人の餓死者も出さなかった偉人中の偉人です。
そして、日本地図を作る為に測量に出る時に幕府の許可は得たけど、資金援助は出てなくて、全て自費でやってるんですね。
その額は一説によると、30億円です。
「50代後半で自費で30億円出して、日本中を歩いて回って、日本地図を作った人が大丈夫なんだから、俺も大丈夫」と思えるのなら、どうぞご勝手に。
最新刊『夢と金』では、そのような「逃げ道」を用意していません。
本気で守りたい人がいるからです。
(撮影:イシヅカマコト)
※このコーナーは、西野亮廣の公式ブログより転載しています。(一部修正アリ)
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