一日一冊読んでいるという“本読み”のアルパカ内田さんが、幻冬舎の刊行作品の中から「今売りたい本」を選び、そして“POP職人”としての腕を振るって、手描きPOPも作ります。
そして、アルパカ内田さんへの「オススメ返し」として、幻冬舎営業部の人気者・コグマ部長からも、一冊ご紹介。
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元カリスマ書店員でPOP職人のブックジャーナリストが売りたい本
第22回 汐見夏衛『さよならごはんを今夜も君と』
こんにちは。猫に小判、犬にごはんを推奨しているアルパカ内田です。
まさに食べることは生きること。闇に埋もれていた日々を鮮やかに色づかせ、心も身体も満たしてくれる一冊だ。「食」をテーマにした小説は人気が高いが、またひとつ味わい深い好著が登場した。若い読者から絶大な支持を集める著者・汐見夏衛の新作でもあり、これは定番となること間違いなしであろう。
舞台は夜食専門店「お夜食処あさひ」である。朝日さんが店主のこの店は、夜食の店なのに朝や昼といった時間帯にも営業している。この店を必要としている学生であれば、ワンコイン(なんと一食100 円!)で食事ができるという夢のような場所なのだ。
「夜食」は実に不思議な食事である。朝食、昼食、夕食の三食からはみ出した存在。普通に生活していれば、なくてもいいはず。夜食を必要とするのは、いつも特別な時なのだ。受験勉強に疲れた夜中に差し出される、母親の手料理。残業の最中に同僚と食べたコンビニ弁当。人それぞれに夜食の思い出があるだろう。生きていく中で直面した大小さまざまなピンチを救ってくれたのは紛れもなく、優しくて温かな情と、空腹を満たす糧であった。
若い感性が随所から伝わるが、ぜひ世代を超えて読まれてほしい。読みながらきっと誰もが、物語の中に、自分自身やかけがえのない存在を思い浮かべるに違いない。理不尽な世の中の悩み多き日々に、明日へと踏み出す強い力を与えてくれる、まさに生きるエネルギーとなる一冊だ。
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アルパカ通信 幻冬舎部
元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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