モノマネでブレイクして以降、役者業を中心にボクシング、絵画、ヨガの世界でも活躍する片岡鶴太郎さん。「60代は体が元気に動く最後の時間。漫然と過ごすのはもったいない!」とおっしゃる鶴太郎さんが“人生後半”の生き方を教えてくれる幻冬舎新書『老いては「好き」にしたがえ!』より、老いに負けない極意を抜粋してお届けします。
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真夜中のヨガは最高の時間
(仕事の)9時間前起床となった理由には、やはりヨガの存在が挙げられます。「今日は時間がない!」と急いでやるのではなく、優雅にゆっくりヨガに励みたいのです。実際、ヨガの本当の奥義は「ユニオン・ウィズ・ゴッド」という、神とのつながりが目的です。夜中から夜明けにかけて行なうヨガの時間は、神とつながれる尊いひとときです。
仮に朝からヨガを始めると、外から車のエンジン音やざわめきが耳に入ってきて、シラケてしまい集中できません。だから私は静まった深夜から行なう。その前にいろいろな用事を済ませるために、9時間前起床のルーティーンになったわけです。
ちなみに、私がヨガと出合ったのは、57歳の時でした。
始めた当初は、バラエティー番組でヨガの話をして、パンツ一枚の姿で自虐的におどけていましたが、それはまだ始めたばかりだったからあえてそうしたんです。
それから10年、テレビでヨガをトークする仕事のオファーが来ても、軽いバラエティータッチでしゃべることすらしていません。まだ実践中の身ですので、自分がどう変化するか効果がわかりませんから、軽々しく語りたくはないのです。
では、10年経ってどんな思いを持っているか。今はヨガに対して、確固たる強い信念を持っています。もし“ヨガを始めていない自分”がパラレルワールドにいたとしたら、その自分と今の私はおそらく人格が違うでしょう。10年という年月の差は大きい。まったく違う人間になっていると言い切れます。
ヨガの手法は説明するのが難しく、それこそ反復しながら上達していきました。
一つ例を挙げると、ヨガ最大の浄化法と言われている「ナウリ」は腹部を動かし、内臓をマッサージするという動作。血行を良くするので健康に有効ですが、実践するのはとても難しいんです。これは毎日続けて、1年くらいかけてできるようになりました。
一日1食スタイルなのは、このナウリをはじめとしたヨガにも関係します。消化物が身体のどこかに沈殿している状態では、ヨガの動きは難しい。だから朝食前の空き腹の状態で始めるのです。ヨガをひっそりひとりで行なう深夜の数時間は、気持ちも身体も最高潮に達します。みんなが寝静まっている時間、静かな空間をひとりじめしているようで、どこか優越感のようなものも。ですから、たとえロケで地方行きの飛行機に乗る日でも、「遅れちゃまずい」と少し緊張しながら、3時間くらいしっかり行ないますよ。
また、このヨガを含め、一日にやるべきことを終えてありつける朝食の美味しさといったら格別です。他人からすると、キツイなと思われるルーティーンかもしれませんが、私にとっては、ヨガから朝食までの流れは至福の時。まさに、好きなことだから為せる業なのでしょうね。
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老いては「好き」にしたがえ!
モノマネでブレイクして以降、役者業を中心にボクシング、絵画、ヨガの世界でも活躍する片岡鶴太郎さん。「60代は体が元気に動く最後の時間。漫然と過ごすのはもったいない!」とおっしゃる鶴太郎さんが“人生後半”の生き方を教えてくれる幻冬舎新書『老いては「好き」にしたがえ!』より、老いに負けない極意を抜粋してお届けします。