モノマネでブレイクして以降、役者業を中心にボクシング、絵画、ヨガの世界でも活躍する片岡鶴太郎さん。「60代は体が元気に動く最後の時間。漫然と過ごすのはもったいない!」とおっしゃる鶴太郎さんが“人生後半”の生き方を教えてくれる幻冬舎新書『老いては「好き」にしたがえ!』より、老いに負けない極意を抜粋してお届けします。
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グレイヘアを生かして髪型を変える
見た目のことでいちばんわかりやすく言うと、髭を蓄え、髪型を変えました。
髭はコロナ禍の自粛中も不精髭になるのがイヤで剃っていたのですが、ある日剃った髭を見ると、髪の毛や眉毛と同じように白い。昔、一度だけ役づくりで伸ばした時はまだ真っ黒でしたから、「どこまで白くなっているんだろう?」と疑問が湧いたんです。どうせ誰にも会わないからと3日間伸ばしたら、やっぱり真っ白! 愕然としてしまいました。
その翌日、我が家を訪れた男性マネージャーから、「あ、髭伸ばしているんですか? いいですね」と言われたんです。
「嘘つけ。お世辞言うなよ」と、私。
「いいですよ。ちょっと写真撮りますね」と撮影してくれたんです。
そしてその画像を、私の見た目にいちばん厳しい長男に送信したところ、「渋いジャン」という返信が。「これは、髭もありなのか?」と考え、自粛中に伸ばし始めたんです。
髪の毛は、コロナ禍の自粛中で美容院に行くのもためらわれ、かといってヘアメイクの方にアトリエに来ていただくことも難しい。半年間伸ばしてぼさぼさ状態でした。悩んだ末、知人の息子さんが美容師さんなのでその時の自分の画像を送って「俺の頭、どうしたらいいでしょう」と相談したんです。そうしたら、「後ろ髪の下のほうにパーマかけて、ラフにしましょう。似合うと思います」と。その美容師さんにパーマをかけてもらう約束をしました。
同時期に「もう髪も眉毛も染めるのはよそう。白くても自然のままでいこう」と決めました。コロナ禍前までは白髪を黒く染め、白くなった眉毛は黒いアイブロウで描いていたんですが、顔が痩せたせいで、眉を黒く描くとそこだけが強調されてしまう。以降、眉も染めるのをやめました。
そして2年後。NHKの連続テレビ小説『ちむどんどん』に出演が決まり、そこで初めて、新しい自分の姿をお披露目したわけです。髭を生やして以前よりもシェイプされた顔、白い髪のロン毛スタイル。この変身に、驚いてくれた方がたくさんいました。週刊誌がすぐに注目してくれて、「イケオジ」として取り上げてもらったことも。イケオジかは自分ではわかりませんが、何歳からでも変われることを証明できた、と思っています。
このコロナ禍中に見た目の改造に励んだことにより、「人は数年で変われるものだ」と身をもって実感しました。何もせず酒を飲んだりしてダラダラ過ごすか、ちゃんと目的意識を持って生きるか。この違いは確実に表れるのだなと。
また、自分自身、この見た目には大満足しています。先ほどお話ししたように私の好きな顔のデビッド・スーシェやショーン・コネリーは、額が上がっているタイプ。日本だとコンプレックスに思う男性が多いですが、額を出してカッコいい男に、私はセクシーさを感じます。このおふたりやアンソニー・ホプキンスは、もうあの頭じゃなければダメなくらい似合っているじゃないですか。
私にとっての今のスタイルも、そう。年を重ねたからこそのカッコよさだと思っています。
老いを逆手にとっておしゃれを楽しむ。これは若い人にはできない幸せです。
老いては「好き」にしたがえ!
モノマネでブレイクして以降、役者業を中心にボクシング、絵画、ヨガの世界でも活躍する片岡鶴太郎さん。「60代は体が元気に動く最後の時間。漫然と過ごすのはもったいない!」とおっしゃる鶴太郎さんが“人生後半”の生き方を教えてくれる幻冬舎新書『老いては「好き」にしたがえ!』より、老いに負けない極意を抜粋してお届けします。