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森へ帰ろう

2023.08.21 公開 ポスト

第9回

「月明かりの眩しさ」と「心細さ」とを知った秋小川糸

山小屋で暮らす前は、森というと、樹々の葉に覆われた緑豊かなイメージでした。

しかし、標高1600メートルの山の場合、梢に葉が茂っている期間は半年もありません。

10月半ばまでには落葉樹は葉を落として裸木になり、地面は枯れ葉の絨毯にかわります。

木漏れ日が差し込んでいた2階の窓からは、さえぎる葉がなくなり、秋の空が見渡せるようになり、それまでは見えなかった八ヶ岳まで姿を現します。

山小屋から出てすぐの夜空。ずっと見ていられます。

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森へ帰ろう

『食堂かたつむり』『ツバキ文具店』『ライオンのおやつ』などのベストセラー作家・小川糸。小説だけでなく、その暮らしを綴ったエッセイも大人気。コロナが流行する前は、ベルリンに住んでいた彼女が次に選んだのは、八ヶ岳。愛犬ゆりねとの、森の中での静かな暮らしをお伝えします。

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小川糸

作家。デビュー作『食堂かたつむり』が、大ベストセラーとなる。同書は、2011年にイタリアのバンカレッラ賞、2013年にフランスのウジェニー・ブラジエ小説賞を受賞。その他の著書に、小説『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』『ライオンのおやつ』、エッセイ『グリーンピースの秘密』『昨日のパスタ』、絵本『ちょうちょ』『まどれーぬちゃんとまほうのおかし』など多数。ホームページ「糸通信」http://www.ogawa-ito.com/

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