山小屋で暮らす前は、森というと、樹々の葉に覆われた緑豊かなイメージでした。
しかし、標高1600メートルの山の場合、梢に葉が茂っている期間は半年もありません。
10月半ばまでには落葉樹は葉を落として裸木になり、地面は枯れ葉の絨毯にかわります。
木漏れ日が差し込んでいた2階の窓からは、さえぎる葉がなくなり、秋の空が見渡せるようになり、それまでは見えなかった八ヶ岳まで姿を現します。
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森へ帰ろう
『食堂かたつむり』『ツバキ文具店』『ライオンのおやつ』などのベストセラー作家・小川糸。小説だけでなく、その暮らしを綴ったエッセイも大人気。コロナが流行する前は、ベルリンに住んでいた彼女が次に選んだのは、八ヶ岳。愛犬ゆりねとの、森の中での静かな暮らしをお伝えします。