生き方
長嶋有を、女の人だと思っていた。
2本の対になった短編が収められており、主な登場人物は夫婦と2歳半になる子どもだ。
表題作では、コロナウイルスに世間が翻弄され、最初の緊急事態宣言が出された一、二ヶ月の出来事が、夫婦それぞれの目線で語られていく。保育園から登園自粛を求められ、それを受け入れると同時に、保たれていた日々の平穏が一気に崩れはじめる。子どもが悪いのではない。けれど、元気の塊みたいな2歳児と過ごす時間は、どんなに体力のある親でも本当に大変だ。だからこそ少しでも物事がスムーズに進むように、親が先回りしていろいろ準備をするのだが、その様子があまりに自分のことのようで笑ってしまう。例えば、尿意を口にした子どものために、トイレに先回りして幼児用便座をセットして、さらに上手にできたご褒美的なコイン(うちはシールだ)を用意する。滑稽にも思えるけれど、いかに子どもの機嫌を良いままに保つかを、母親は父親以上に重視することを著者は本当に理解しているなとうなってしまった。
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