遺伝子検査に遺伝子治療…急速に進む遺伝子の研究は、私たちに何をもたらしてくれるのでしょうか? 9月6日発売のコミックエッセイ『遺伝子が私の才能も病気も決めているの?』でとことん遺伝子について取材し、勉強した著者の上大岡トメさん。遺伝子を知ることで何が変わったのでしょうか?
自分のカラダをもっと知りたい!
私はこれまで大きな病気をしたことがなかったのに、50歳を前に突然喘息になりました。
年齢を重ねると、増えていくカラダのあちこちに起こる不具合。かといって、今までできなかったことが、練習によってできるようになったりもする。例えばピアノを弾けるようになったり、バレエのピルエット(片足で回る)ができるようになったり。
生まれてから24時間一緒にいるこのカラダ。こんなに身近にいるのに、知らないことばかり、ということに気がつきました。そして自分のものなのに、コントロールすることはとても難しい。
そのカラダの中で、何が起こっているのかを知りたい。
それがこの本を書く大きなきっかけです。
最初は「遺伝子」、「DNA」、「ゲノム」の違いがなかなか理解できませんでした。なぜなら目に見えないから。染色体も細胞分裂も、学生の頃生物の授業でやったはずだけど全く覚えていない。
でも自分のカラダをもっと知るんだ、というモチベーションで調べいくと、まずイメージできたのが、
「今、自分がこうして生きている世界よりも広い世界が、自分の中にある‼」
ということ。
とっても小さなモノ(数えきれない細胞やその中の遺伝子)たちが、私たちが寝ている間も働いていて、自分のカラダをうまく回るようにしているのです。こうしている間にも細胞分裂を繰り返している。その壮大さに驚きました。なんで学生時代には気がつかなかったのか。
またカラダに起こること、例えばカラダの老化や病気は原因が一つではないことも知りました。環境、遺伝、いろんな因子があって、原因を特定するのはとても難しくて、答えの出ないグレーの部分が多い。問題を解いてその答えは○か×しかないという教育を受けてきた私。いいか/悪いか、正しいか/正しくないか、そんなその2極で考える習慣がついていました。でもどちらにも当てはまらないグレー部分を認め、考え続けていくことが大切なんだ、と思うようになりました。
カラダの仕組みを知れば知るほど、こうして生きていることはそれだけで奇跡です。この命を大切に全うしたい。細胞たちが自分の力を発揮できる職場環境を作るのが、私たちにできること。
自分のカラダのこと、もっともっと知って欲しい。
ぜひ『遺伝子が私の才能も病気も決めているの?』のページを開いて、ご自分のカラダの中の小さなモノたちに思いを馳せてください。