スキンケアコスメは空前の“成分ブーム”。
化粧水やクリームの広告で「美容成分98%配合」「ビタミンX誘導体20%配合」といったラベルをよく見かけます。
果たして、こういう成分が多いほど美容効果は高いのでしょうか?
まず、美容成分90%超え化粧品の広告にはからくりがあります。
よく見るとたぶん「※」が見つかり、「※水を含む」と書いてあるはず。
水はスキンケア化粧品に不可欠なので確かに美容成分と言えるかもしれませんが、買う人の期待とは少し違うかもしれません。
ほかにも、コラーゲンエキスやラベンダー花水、サトウカエデ樹液などのようにあらかじめ水を含む原料をベース成分として使って、「水を一滴も使わない化粧品」として訴求するケースもありますが、水(H2O)は化粧品中には高濃度で存在していることがほとんど。
「美容成分90%」は、美容的には殆ど意味がない表現です。
また「ビタミンX誘導体20%配合」などの“特定成分高濃度化粧品”でいえば、成分の濃度が濃いほど良いわけではありません。
それには2つの理由があります。
一つは、肌が整っていない状態で高濃度の美容成分を使っても、効果どころか肌にネガティブにはたらく心配があります。化粧品は薬ではないため、穏やかな効果が大前提。肌質によっては刺激が美容効果を上回り、赤みや乾燥などの肌トラブルに繋がってしまいます。
二つ目は、ベース成分で肌への効果は大きく変わるためです。
ベース成分の処方設計によって、肌への浸透を促進する成分もあれば、相性が悪く効果を邪魔する成分もあります。
化粧品は一つの成分だけではなく、複合成分の集合体として初めて完成するもの。
一つの成分で有用性を見出せたとしても、化粧品として総合的に機能してくれるかどうかは別問題です。
そこで、スキンケアコスメを選ぶ上で重要なポイントの一つは「保湿力」。
化粧品は薬機法によって56項目の効能効果が認められていますが、肌状態に関連するものは「肌にうるおいを与える」「肌のきめを整える」などといった「保湿」による効果しか認められていません。
保湿は肌の最表面にある死んだ細胞である「角層」に水を留めるという「物理的作用」であり、生きた細胞に影響する「生理的作用」ではないため副作用がほとんどないという、スキンケア化粧品の基本機能。
「死んだ細胞にうるおいを与えるだけなら、スキンケアは意味がないのでは?」と思われがちですが、そうではありません。
法律上は保湿によって角層のみしかケアが出来ないものの、角層を健全に保てばその下に存在する細胞たちが本領発揮する環境が整えられ、結果的に肌全体の健やかさに繋がります。
実際、保湿効果だけでもシワやしみ予防、炎症、くすみなど様々な肌悩みにアプローチできます。ある化粧品研究者の方が言うには、 有用成分を配合した化粧水
保湿成分でも多ければ多いほど良いという訳ではありません。先日開催した「手作り化粧水セミナー」で、参加者に好きなように処方設計をして、保湿成分を配合するという企画をしました。皆さん、コスト度外視で保湿成分たっぷりのオリジナル化粧水を作って、大変に盛り上がっていました。
その中で多かったのが「保湿剤も多ければ多いほど良い訳ではない」という声。保湿剤も多すぎると、べたつきやきしみ、ヨレなど使用性の問題が発生します。また保湿成分と言えど、肌に合う・合わないはあるため肌トラブルも要注意!
スキンケア化粧水の成分は多くの割合を「水」が占めています。それは心地よく使うため、メイクのりを良くするため、次に塗布する化粧品を邪魔しないための必須要素。スキンケア化粧品選択の基準には結局、「心地よく保湿ができるか」が最重要なのです。
賢い肌は裏切らない
綺麗になるとは自分にしかない魅力を見つけて育てること。化粧品成分と皮膚科学に着目した情報発信を行う理系美容家かおりが、一生使える美容の基礎知識と習慣をご紹介。昨日より1ミリでも自分のことを好きになれるヒントをお伝えしていきます。