今年は夏が長い。9月の終わりだというのにあちこちで35度を越えているらしい。24年ぶりの暑い秋だとニュースキャスターが言っていたけれど、24年前の秋がどんなだったか覚えている人はいるのだろうか。
わたしの住む山の村でも今年は暑い日が多く、30度を超えた日が何日かあった。けれど森に囲まれているからかそこまでの暑さは感じず、半袖の服を着たのもほんの数日だけだ。近所の人はすでに薪ストーブを焚き始めていると言っていた。それでも、ようやく秋がはじまるのだと思うと少しほっとする。
今日は久しぶりに森を散策した。
栗のイガがいくつも土の上に落ちていた。葉っぱの積もった土は水分を含み柔らかい。もう少し時が経つと紅葉した葉が腐って養分になるから、さらにふかふかの土ができるだろう。この辺りの森で松茸は生えないらしいが、見るからに危険な極彩色のきのこの姿はちょくちょく見る。森には実は、色々な色がちりばめられているものだ。
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愛の病
恋愛小説の名手は、「日常」からどんな「物語」を見出すのか。まるで、一遍の小説を読んでいるかのような読後感を味わえる名エッセイです。