プログラマーの清水亮さんとアニメプロデューサー・石井朋彦さんによる対談講座「生成AIと人間の才能の可能性~感動の境界線はどこにある?~」が11月19日(日)に開催されます。当日を迎える前に、清水さんの著書『教養としての生成AI』より「生成AI」を理解するためのポイントをご紹介。石井さんとのトークは、「生成AIの本質」をさらに掘り下げることになるでしょう。どうぞお見逃しなく。
動画制作に欠かせない「効果音」の生成
音響エフェクトによる効果音は、映画やテレビ、ゲームなどの臨場感や没入感を高めるために欠かせない重要な要素です。
生成系AIを利用することで、音響信号を解析し、機械学習アルゴリズムを使って、新しい音響エフェクトを自動生成します。
前述のDiffusers v0.15.0では、音声生成の機能も追加されています。AudioLDMという機能を使うと、「ハンマーで鉄板を叩く音」や「街中で叫ぶ男の声」などのテキストから効果音を生成できます。
テレビや映画で使われる効果音は、実際の音とは違います。それっぽく聞こえるように全く別の音を組み合わせて効果音としているので、作るのが非常に難しいのです。
今はあらかじめ専門の業者が作った効果音を買ってきて使うのが普通になっていますが、実際に映像制作の現場では、「この効果音じゃないんだよなあ」ということで頭を悩ませることが少なくありません。
AIによる効果音生成には一定以上の需要と可能性があるでしょう。やはりYouTubeなどで個人が動画編集するのが当たり前になった時代だと、いい効果音がなくて困ることが少なくないからです。
イメージ通りの効果音を、しかもイメージに合わせて微調整して使えるとなると、喜ぶYouTuberは増えるのではないでしょうか。
また、音響処理においてAIはすでに大きな成果を残しています。最近のビデオ編集ソフトでは、AIによって人間の声以外の音を消してしまう高度なノイズキャンセラーが搭載されるのが当たり前になってきました。実際にこれで驚くほど雑音が消えます。
今後はただ雑音を消すだけでなく、よりリアルな音響や、より迫力のある音響を作り出すような、表現力を増強するためにAIが活用されていくでしょう。
すでにここまでに出てきた技術とその延長線上にあるのは、一人で映画制作ができるという時代です。そのための準備は全て整ってしまいました。あとは作るだけです。
一体これからどんな作品が作られていくのでしょうか。非常に楽しみです。
清水亮×石井朋彦「生成AIと人間の才能の可能性~感動の境界線はどこにある?~」
日時:11月19日(日)14:00~15:30
場所:幻冬舎本社/オンライン
人間が一から作った文章や映像、画像が訴えてくる感動の源を生成AIの現在と比較しながら、「表現するヒト」の存在価値を、「才能」や技術や芸の「継承」という側面とともに考える機会にしたいと思います。詳しくは、幻冬舎大学のページをご覧ください。