最近、またよく母の夢を見る。
夢の中でわたしと母は、自転車に二人乗りをしている。
母が前でわたしは後ろだ。
わたしは足を二本とも同じ方向に出して座り、手は自転車の荷台を握っている。わたしの夢はPOV型でなく映画鑑賞型なので、母と二人乗りしているわたしを、眠るわたしが俯瞰で見る。そうして、羨ましいな、と思うのだ。手を腰に回せばいいのに、触りたいのに、夢の中のわたしは自転車の冷たい金属部分だけを掴んでいる。
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愛の病
恋愛小説の名手は、「日常」からどんな「物語」を見出すのか。まるで、一遍の小説を読んでいるかのような読後感を味わえる名エッセイです。