人気占い師、真木あかりさんの新刊『2024年上半期 12星座別あなたの運勢』より、総合運をご紹介します。
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総合運
人生でもっとも深い、思考の旅が始まる。
5月末まで、「立ち止まって考える」「後ろを振り返る」時間が増えそうです。過去12年間にあなたが見たもの、聞いたこと、感じたこと──すべてを、自分のものとして混ぜ合わせ、熟成させ、再構築する動きが起こるからです。日常で考えたり、感じたりすることは物事を正しく認識しているようでいて、長い時間が経ってからやっとその「本質」が見えるということは、あなたもきっと経験があることでしょう。新たに学び、経験を積むことで過去の出来事の「意味」が、また違った方向から眺められることもあります。記憶と記憶が出会って、混ざって、化学反応を起こす。こうしたときは、立ち止まったほうがいいのです。まとまった休暇をとったり、家にこもったりするのにも向いています。ときには「人と一緒に過ごすことが好き」という、普段のあなたのパターンから外れてひとりで静かに過ごしたくなるかもしれません。この時期、あなたが向き合うのは、他の誰かではなく「自分」なんですね。
スピード感に欠けたり、人付き合いに気乗りがしなかったりと、自分について「ちょっと変だな」と思ったときは、心が過去を整理しているんだ、熟成している途中なんだと思ってみるといいのかなと思います。変でもいけないことでもないです。大事な時間です。
こうした動きが起こるのは、5月末から始まる「幸運の1年」の準備段階にあるからです。5月末、「幸運と拡大の星」と呼ばれる木星がふたご座に巡り、2025年6月上旬まで続く「幸運の1年」が始まります。「12年に一度の幸運期」で、仕事面で発展が見られたり、結婚や恋愛に前向きな動きがあったりと、ターニングポイントを迎える人が多いのです。長年の夢を実行に移す人もいるでしょうし、一生に一度と思えるほどの大きな買い物をする人もいるでしょう。あなたが何を望むか、人生のどのステージにいらっしゃるかによっても違ってくると思うのですが、あとあと振り返って印象深く思い出す、そんなシーンが特別に多い1年となるはずです。
幸運期といっても、木星がもたらす幸運は、「突然舞い込んでくるラッキーな出来事」ではありません。「幸運と拡大の星」で、みずから行動を起こすことでチャンスが拡大し、結果的に幸運につながるという意味合いです。待ちの姿勢でいては、「なんか穏やかで過ごしやすい1年」くらいの感覚で終わってしまうので──昨今は、それもまた素晴らしい幸運なのかもしれませんが──、そこのところはよくよく覚えておいてください。思えば仕事の成功も、恋愛・結婚も、自分なりに行動を起こしてこそうまくいきます。たなぼた式の幸運は嬉しいものですが、それだけでは人生は動かないのです。
5月末以降の幸運期、あなたは何をするでしょうか。どんな選択をし、誰の手を取り、どこにいたいと思われるでしょうか。そのとき進む道が見えるように、5月末までの時間があります。この12年間、あなたが目で見てその耳で聞いて、手にしたすべてのものを心のなかでばらばらにし、再構築し、みずからのやしないとするのですね。今だからわかることがあります。今だから受け入れられることがあります。弱さも、失敗も、改めてさまざまなことを教えてくれます──もちろん、成功も。ずっと引きずってきた悲しみ、つらさをやっと乗り越えることができる人もいるだろうと思いますが、それはきっと「手放した」のではなく「自分のやしないにできた」ということなのでしょう。「何事も経験だから」というのは、不本意なこと、受け入れがたいことに直面したときによく使われる言葉です。「簡単に言わないでよ」と反発したり、そう考えることで自分を無理やり納得させたりした経験がある人もいるでしょう。この時期は、そうした数々の出来事も「本当に、何事も経験なんだなあ」と素直に受け入れられるはずです。ふと立ち止まるとき、ふと考え込んでしまうとき、そんな優しい「自分自身の受容」があるように、私には思えます。特に5月は、印象的な出来事が起こりやすい暗示です。先程、たなぼた式の幸運だけでは人生は動かないと申しましたが「適当に買ったプロ野球チップスにものすごいレアカードが入っていた」といった感じの幸運も、十分起こりうるだろうと思います。
自分の「哲学」を大きく変える旅が始まる。
村上春樹さんの『ランゲルハンス島の午後』というエッセイ集に、「哲学としてのオン・ザ・ロック」という一篇があります。氷を割って、ウイスキーを注ぐオン・ザ・ロック。シンプルなのに、氷の割り方や大きさが違うだけで味が変わってしまう。ベストなオン・ザ・ロックに仕上げるためには、長い年月がかかる。村上さんは8年間、「どんなオン・ザ・ロックにも哲学はあるのだ」と思いながら、作り続けたといいます。どんな些細なことでも、毎日やり続ければそこには哲学が生まれる。「そういう風にして身についた小さな哲学というのは小さいなりにあとになって結構役に立つような気がする」──エッセイはそう結ばれます。
1月下旬、あなたの「自分の哲学を変える旅」が始まります。正確にいえば、2023年春から初夏にかけて、軽く始まっていました。今回は2回目で、9月頭まで続きます。そのあといったん休みが入り、11月下旬に再開。そして2044年まで続きます。とてもとても、長い旅です。
向こう20年、ふたご座の人々は見えない手に導かれてでもいるように、持ち前の探究心や好奇心を揺さぶられることでしょう。人によってはすでに2023年に、そうしたテーマと出会っているかもしれません。今、学ぶべきだ。今、掘り下げずにはいられないんだ──強い知識欲に揺り動かされ、アカデミックな世界に飛び込んだり、猛烈に情報収集をしてその道の第一人者になったりするのかもしれません。「本当は仕事にしたかったけれど、この道では食えないから」と敢えて他の仕事を選んだ人が、「食えないことがなんだっていうんだ」と、舞い戻ってくることもありそうです。そうしたわけのわからない衝動のなか、これまで築いた価値観を大きく変え、自分なりの「哲学」を見み出いだすに至るだろうと思います。
哲学というのは学問分野を指すこともありますが、ここでは人生観、世界観といったものとお考えください。グラスを選ぶ。ウイスキーを選ぶ。氷を割る。氷の角を削る。大きいばかりではなかなか溶けない。小さい氷ばかりではすぐに溶けてしまう。大中小、ちょうどいい氷を組み合わせ、メジャーカップでウイスキーを注ぐ。バースプーンでステアする。そうやってオン・ザ・ロックを作り続けるように、あなたが繰り返し注意深くやっていること、考えていること、会得したこと。それが大きな気付きや、生きる指針を見出したりすることにつながるでしょう。
こうした運を呼び込むのは、冥王星の影響です。冥王星は遠い星です。よって、日々の生活のなかで「わー! 冥王星の影響だ!」などと感じることはないでしょう。月や太陽といった目に見える星は私たちの生活とリンクしていますが、肉眼で見えない星は感じられないのです。それでも、星が星座をまたぐときや、他の星と特定の角度を取ったとき、逆行というイレギュラーな動きに入る切り替えの日などは、知識欲が強烈に揺さぶられたり、学ぶべきものが目の前に現れたりと、印象的な出来事が起こりやすいでしょう。ただ、その多くは予測不能で、コントロールも不能であろうと思います。自分でも説明できないような行動に出ることもあるでしょう。どうにかこうにか乗り越えて、15年、20年と長い時間が経ってからようやく「そうか、そういうことだったのか」と腑に落ちる──それが、冥王星がもたらす影響なのです。あなたの「哲学」もきっとそう。ふたご座の人々はひとつのことをコツコツと長く続けるよりは、さまざまなものを渡り歩くほうがお好きです。何かに束縛されるのは、つまらないのです。ただ、ここから20年のあいだ、強く惹かれるものがあれば徹底的に繰り返し、やってみるといいかもしれません。それが、人生観が変わるような天啓を与えてくれるだろうと思います。もしかすると、あちこち飛び回ることそのものが「オン・ザ・ロックを作り続ける」ような行為につながる、という解釈もできるかもしれません。
5月末、ふたご座の人々にとって幸運期と呼べるシーズンがスタートすることは、すでに触れた通りです。この冥王星が影響するかたちで、強い野心が心のなかで芽生える人は多いだろうと思います。変化を恐れることなく、時代の波に乗っていきましょう。気になった本は迷わず買う、ピンときた場所にはすぐに行ってみる。「突然思い立って海外へ」なんて選択も、運気に弾みをつけてくれるはずです。それまで少し静かな時期が続くので、急展開に周囲を驚かせるかもしれません。が、あなたのなかでは着々と、その準備は始まっていたのだろうと思います。
〈参考文献〉
『ランゲルハンス島の午後』村上春樹(新潮文庫(1990年刊))
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