『さよならの向う側』でも知られる作家・清水晴木さんの最新刊『17歳のビオトープ』は、謎多き校務員と悩みを抱える4人の高校生が織りなす青春小説です。
舞台は千葉県の高校。恋愛、ガチャ、SNS。現代ならではの悩みを抱える高校生たちを、校務員・平人生(通称:人生先生)が導いていきます。人生先生と話すうちに、自分なりの答えを見出していく生徒たち。「人生先生は彼らにどんな言葉をかけるのか」が読みどころです。
第四話「生きる意味って」の一部を、登場人物の言葉とともにご紹介していきます。
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第四話 生きる意味って
【登場人物】
・水野陽菜(理由もなく死にたい女子高生)
・平人生(奏杜高校の校務員)
【あらすじ】
自殺願望のある陽菜が人生先生のもとを訪れる。「病気で生きることができない親友」と「健康なのに死にたい自分」の間で葛藤する陽菜。陽菜が初めて「生きていて良かった」と思えた瞬間は――。
陽菜
「生きる意味ってなんですか?」
人生先生
「私もまだ明確な答えを持ち合わせていません。ただ、あくまで参考にということで言えば、とある映画の登場人物は、人間は生まれてきて良かった、と思うことが何度かあって、そのために生きているのではないか、と言っていましたよ」
陽菜
「生まれてきて良かった……」
人生先生
「つまり、『生きていて良かった』みたいな意味合いでもあると思います」
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陽菜
「人生先生、私は自分のビオトープを見つけられませんでした。私は今までも一人で、これからもずっと一人ですから」
人生先生
「孤独を感じているということはあなたは一人ではないんですよ。人はだれかが近くにいるからこそ孤独を感じるんです。孤独を感じるということは、裏を返せばあなたの周りにはちゃんと人がいるということです」
「水野さんが『生きていて良かった』と思える瞬間は、今日というこの日にも、きっと訪れるはずですよ」
陽菜
「え……」
人生先生
「水野さん、少しここで待っていてください」
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人生先生は陽菜に何を伝えようとしているのか。続きは書籍でお楽しみください。
17歳のビオトープ
ドラマ化でも話題となった『さよならの向う側』の著者、最新作。本特集では『17歳のビオトープ』にまつわる情報をお届けします。
【あらすじ】
いつも飄々と、謎めいた雰囲気を醸し出している、奏杜高校の校務員・平人生。「人生先生」と呼ばれる彼のもとには、日々、悩みを抱えた高校生が訪れる。人生先生と話すうちに、自分なりの答えを見い出していく生徒たち。彼らは次第に、人生先生が始めた中庭のビオトープ作りに参加するようになり……。
第1話 恋と愛のちがい
第2話 運とかガチャとか
第3話 不幸せになる方法
第4話 生きる意味って