2024年3月31日をもって、32年間続けてきた放送作家業と脚本業を辞めることを表明した鈴木おさむさん。マンネリを捨てることで、働く意味、人生の目的、幸せのカタチが見えてくるといいます。著書『仕事の辞め方』の一部を再編集してお届けします。
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「妻が大反対したら辞めることをやめていたかも」
辞めることを人に話す順番
本当に辞めると自分の中で決めた後で大切なのは、辞めることを人に話す順番です。
辞めると覚悟するまでいったわけです。でも、話す順番を間違えると、その気持ちが揺らいだりして、自分の人生が見えにくくなります。
では、どういう順番で言ったらいいのか?
結婚している方は、まずは妻や夫といった、家族からというのが大事だと思います。
僕は、本当に辞めると決めてから、その思いをやはり最初に妻に伝えました。
妻が大反対したら辞めることをやめていたかもしれません。
僕の場合は、「大事な話があるんだ」みたいなことはせず、息子が学校に行ってから、「あのさ、放送作家を来年、辞めようと思うんだけど」とさらっと伝えました。
妻の最初の反応は「おせーよ」でした。意外にももっと早く言い出すと思っていたそうなんです。そして「すごくいいじゃん!」と。そう言ってもらえると思っていました が、想像以上にいい反応でした。
お金のことを考えていると、未来が考えにくくなる
妻からしか見えていない僕がいます。毎日仕事に追い込まれて、イライラしたりプレッシャーを感じて苦しそうな僕を妻は見ていました。
生きていて苦しそうと思っていたようです。
そして、「ここからは自分の人生を自分のために使って生きてほしい」と言われました。さらに、妻がある日僕に言った言葉が胸に残っていました。「お金に執着するとそういう人生になるんだよな」と。
僕はこれまでお金に執着するタイプではありませんでしたが、やはり、仕事を辞めると自分の中で決めてから、お金のことを考えるようになりました。
なぜなら今よりも収入がかなり減ります。来年からやる新たな仕事が成功するかどうかもわからない。
生活のレベルも大きく変わってきます。僕はポジティブな方ですが、辞めると決めた当初は、自分の中で「なくなるもの」を考えてしまった。
ですが、妻のこの言葉で、考え方が変わりました。
お金や生活レベルのことなどを最初に考えていると、未来が考えにくくなるのです。
妻の言葉で、自分の不安からくるその考え方が小さくなっていきました。
そして、自分の人生を自分のために使うことを考えられるようになりました。
辞めると決めてから、やはり、気持ちにブレが生じましたが、妻に伝えたことで強いものになりました。
僕の場合は、妻がきっと賛成してくれると思ったこともありますが、妻に伝えたら気持ちが強く固まるはずだという思いもあった。だから最初に妻に話したんだと思います。
仕事の辞め方
2024年3月31日をもって、32年間続けてきた放送作家業と脚本業を辞めることを表明した鈴木おさむの著書。「仕事を辞める」と想像することで、働く意味、人生の目的、幸せのカタチが見えてくる。