人はこうやって共感される――。『起業1年目の教科書』シリーズでお馴染みの経営コンサルタント・今井孝さんが「話し方」のコツを具体的かつ実践的に解説するコミュニケーションの教科書『誰でもできるのに9割の人が気づいていない、話し方・つながり方』より、一部を抜粋してお届けします。
ビートルズのメンバーの名前を言えないと面接に落ちる?!
話が苦手な人の特徴の1つは、
「すべての質問に答えられなければならない」
と過度に身構えてしまうことです。
しかし、質問に答えられないと本当に信頼を失うのでしょうか?
結論から言うと、たいていの場合、わからないことは「わからない」と言えば問題ありません。
そのほうが相手から信頼されますし、ごまかしたりするほうが印象を悪くすることがほとんどです。
以前、ネットで「ビートルズのメンバーの名前を言えなかったから面接に落ちた」という就職活動中の学生の書き込みを見たことがあります。
しかし、本当にそれで落ちたのでしょうか。
仮に、本当にビートルズのメンバーを答えないと落とされてしまうなら、他のグループの場合の対策もしなければいけなくなります。
有名なバンドは他にもたくさんいますので、あらゆるメンバーの名前を覚えておかなければならないなんて現実的ではありません。
面接では、質問に答えられるかよりも、実は、質問に対して、どんな反応をするかが見られているのです。その人の姿勢や表情から、人間性を観察されているわけです。
ですので、自信たっぷりに「わかりません!」とか、「名前はわからないですが、あとで調べてみます」と言っていたら、もしかしたら受かっていたかもしれません。
「わからない」と言うと信頼される
実際、できる人ほど、わからないことはわからないと言えます。
会社員時代に、私の部署で戦略コンサルタントの方に調査を依頼したことがあります。
その人は週に1回、分厚い報告書を持って説明に来てくれたのですが、さすがプロだといつも感心していました。何を質問しても、当然のように答えてくれるのです。やっぱりコンサルタントの人ってすごいな、と思っていました。
しかし、ある時質問したことに、その方は珍しく即答しませんでした。
そしてただ一言、
「それはちょっとわかりません。では、次までに調べておきますね」
と、サラリと答えました。
その堂々とした態度を見て、私はやっぱりすごい人だという印象を新たにしました。
私も今はコンサルタントとして、日々、クライアントの方々の相談に乗っていますが、わからないことだらけです。それぞれの業界のことはクライアントのほうが詳しいですからね。
しかし、そんなことはお客様からの信頼とまったく関係ありません。
お客様の得たい結果に貢献できていれば、すべてを知る必要はないのです。
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この続きは書籍『誰でもできるのに9割の人が気づいていない、話し方・つながり方』でお楽しみください。