美しいボディラインのために筋トレをがんばる人は多いもの。けれど、動きやすい、しなやかな身体を目指すなら、筋肉を鍛えるだけではダメなのだと、パーソナルトレーナーで姿勢アナリストのKAORUさんは言います。
KAORUさんの新刊『クッションピラティス 内ももを締めれば勝手にやせる!』の内容から、理想の身体とはどんなものか、わかりやすくご紹介します。
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KAORU式ピラティスは一石三鳥のトレーニング
ものすごく単純化していうと、ピラティスとは「柔軟+筋トレ」。身体をやわらかくすることと、体幹を鍛えることを目的とする運動です。
KAORU式ピラティスは、そこに「関節のクセを直す」、つまり関節を正しく動かし可動域を広げるという目的を加えています。一石三鳥のトレーニングなのです。
関節を動かそうとしても、うまく動かないことがあります。たとえば座って前屈しようとしても、腰がつっぱる感じがして痛くて前に倒れられない、なんてことがありますよね。
そんなとき、周囲には必ずといってよいほど筋肉の中に硬い部分があります。それが身体と意識の邪魔をしているわけです。
ですから、その硬い部分を念入りにほぐして、そして正しく伸ばしてクセを直す。そのあとで鍛えていく、というプロセスが大事です。
股関節と肩関節が動けば身体はラクに、キレイになる
可動域を広げるべき関節の中でもKAORU式ピラティスが特に大切にしているのが、股関節と肩関節という人体の中でも大きな2つの関節です。
共通点は、どちらも「球関節」であること。接合部分が球と受け皿のかたちをしていて、そのため、ほかの関節とは異なり「回す」という大きな動きができます。
クセを直したい、動きをよくしたい関節は無数にあるものの、ひとまずこの2大関節さえ正しく動けば身体は格段にラクになります。
本連載でご紹介するリリース&クッションピラティスはどれも、2大関節の可動域を広くすることを念頭に考案してあります。
よくほぐれている、やわらかい筋肉こそ理想
意外かもしれませんが、理想の筋肉とは、よくほぐれている、やわらかい筋肉です。
「なんだ、それなら私の筋肉もそんな感じだ」
「やわらかい筋肉がいいんだったら鍛えて硬くしないほうがよさそう」と思うかもしれませんが、ちょっと待ってください。
ただやわらかいだけではなく、必要に応じて瞬時にきゅっと締まり、役割を果たし、力を発揮することができなければいけません。
関節の動きをよくしながら、体勢を保持する安定力をつけていくと、バランスのとれた身体が作られていきます。
全身の筋肉は、まるでボディスーツのような筋肉の膜で覆われ、すべてが連動しています。
どこか1か所だけを部分的に鍛えるのではなく、全身の筋肉の連動性を高めることが大切なのです。
でしゃばり筋だけを働かせるのではなく、おサボリ筋まできちんと働かせて、全身の細かな筋肉が連動してバランスよく動く。KAORU式ピラティスは、そんな理想も叶えます。
身体の正しい動き方・使い方を、脳と身体にクセづけし直して、自分史上最大限に機能的に動ける身体を手に入れましょう。
ピラティスの歴史
1915年頃、ドイツ人のジョセフ・ピラティス氏が敵国イギリスの収容所に収監された際、病人や負傷兵のためのリハビリテーションとして考案したのが、ピラティスの始まりです。
ピラティス氏は病院のベッドを改造してトレーニング器具まで作りました。これがピラティス専用マシンの原型です。
のちに釈放された彼がニューヨークに渡ると、バレエダンサーやブロードウェイダンサーの間で「パフォーマンスの上がるエクササイズ」として流行し、世界中に広まりました。
一説によれば愛好家は世界で1700万人以上! K-POPスターにピラティス好きが多いことから、日本でも何度目かの盛り上がりを見せています。
さて、ヨガとよく比較されるピラティスですが、動きは似ていても、精神の安定を目指すのがヨガ、身体を本来の姿に戻していくことを目指すのがピラティスです。
また、一般的な筋トレともかなり違います。筋トレは身体の表面に近いアウターマッスルの筋力アップや筋肥大を狙いますが、ピラティスがアプローチするのはインナーマッスル。
過剰に鍛えることではなく「身体が本来もつ機能を最大限に引き出すこと」を目指しています。
そもそも起源がリハビリですから、妊婦からシニアまで誰でもおこなえるのが最大の魅力。寝たままの姿勢でも可能です。
実際、世界中の病院や老人ホームなどでピラティスのメソッドは活用されているのです。
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2024年2月21日発売の『クッションピラティス 内ももを締めれば勝手にやせる!』(KAORU著)の最新情報をお知らせします。