お金の知識が少ない人にぴったりな、井戸美枝さんの新刊『好きなことを我慢しないで100万円貯める方法 20代女子のためのお金の基本』。本文より、「投資をする際に注意するべきこと」を公開します。
4月5日には、本書の刊行を記念し、井戸さんと、「つみたて王子」こと中野晴啓さんの、ビギナー向け投資講座を開催。こちらもご参加をお待ちしております。
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「短期間で大きく儲ける」を狙ってはダメ
みさき(25歳・会社員):投資には「リスク」があるとよく聞きますが、そのほかに「リターン」という言葉を聞いたことがあります。
井戸先生:リスクとリターンはセットで考えます。リターンとは、資産運用によって得られる成果のことで、収益だけでなく、損失もリターンといいます。株式であれば、購入時と売却時の株価の差がリターンとなり、値上がっていれば収益に、値下がっていれば損失となります。
もえ(25歳・フリーランス):リターンには損失も含まれるということを初めて知りました!
井戸先生:一方、リスクとはリターンが予測できないことを表します。つまり、「リスクが大きい」とは、「大きく収益が得られるかもしれないし、大きく損失が出るかもしれない」という意味になるわけです。
もえ:なるほど! リスクとリターンは比例関係にあるんですね!
井戸先生:その通りです。下の図は、「外貨預金(米ドル)」「トヨタ自動車株」「日本株式」「先進国株式」「新興国株式」「先進国債券」という6 つの金融商品の1 年間の投資収益を比較したものです。これを見てみると、収益が大きいほど、損失も大きくなっていますよね。つまり、リスクを小さくしようとすると、損益と同時に収益も小さくなってしまうわけです。逆に大きい収益を得ようとすれば、リスクも大きくなるため、失敗したときの損失も大きくなります。
みさき:ということは、小さいリスクで大きなリターンを得ることのできる投資方法は存在しないんですか?
井戸先生:はい。残念ながら、「ローリスクハイリターン」の投資方法はこの世には存在しません。投資をする際には、リスクとリターンの関係をしっかりと理解したうえで、自分のリスクを考えながら資産運用を行うように心掛けましょう。
みさき:SNSなどを見ていると、FXや仮想通貨の取引で短期間で億単位の資産を築いた人の体験談をよく目にしますよね? ああいうのを見るとやっぱり「羨ましいなぁ」って思っちゃいます……。
井戸先生:そういった話はよく耳にしますよね。たしかに、FXや暗号資産(仮想通貨)といった価格変動が大きい投資では、短期間で莫大なリターンを得ることも不可能ではありません。ですが、リターンが大きいということは、それだけリスクも大きいということ。運用に失敗したときの損失も莫大なものとなってしまいます。そのため、みさきさんのような投資初心者は手を出さないようにしましょう。
もえ:私も投資には興味があるし、勉強もしているけれど、FXや仮想通貨はリスクが大きすぎて、敬遠しています。
井戸先生:もえさんのような考えで投資をしている人ばかりだと、私も安心なのですが……。最近の若い人たちのなかには、インターネットで「億り人」や「FIRE」の成功例をたくさん目にすることで、自分でも投資で一攫千金ができるのではないかという錯覚に陥っている人も少なくないようです。ですが、残念ながらFX などで儲かった人の裏には、損をした人がいるということです。
みさき:私の周りにもそういう人がいます……。
井戸先生:悲しいことに、世の中には悪い人たちも多く、投資に幻想を抱いている若年層をターゲットにした投資詐欺も後を絶ちません。「必ず儲かる」「月利◎%」といった勧誘文句は絶対に信用しないようにしてください。うまい話には必ず裏があるんです。
みさき:おいしい話はありませんね……。気を付けます。
井戸先生:短期間で儲けようなどとは考えず、新NISAやiDeCoを活用しながら、長期で資産運用に取り組みましょう。
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初心者歓迎!井戸美枝×中野晴啓「まだ新NISAやってないの?」と言われて焦っている人のための投資講座
4月5日(金)19時から、会場&オンラインで開催します。詳細・お申込みは幻冬舎大学のページをご覧ください。
好きなことを我慢しないで100万円貯める方法
本書は、20代の女性に向けて「今は、これだけは知っておいて、実行すれば大丈夫!」という内容をギュッと詰め込みました。
お金についての知識がない人でも簡単に、また身近な内容に感じられるように、みさきさんともえさんという、20代の女子2人組がお金について分からないことを井戸先生に質問し、解決していく構成となっています。
給料明細の見方から、お金の貯め方、NISAを始めるタイミングなどを収録。「今までお金について真剣に考えたことが無い」「将来が不安……」という人や、「これから社会人になる」「ひとり暮らしをする」という人に、ぴったりの1冊です。
イラスト:クリモト