日本テレビ系列で毎週月曜19時から放送されている「有吉ゼミ」。2024年4月15日放送予定回に九重部屋さんと工藤公康さんがご出演されます。【工藤農園】にロケ出演される、工藤公康さんの「食への強いこだわり」とは?
プロ野球界・相撲界のレジェンドと、国内外の名リーダーが師事する「心身統一合氣道」の継承者が忖度なく語り合った、出色の指導者論にして勝負論。工藤公康氏、九重龍二氏(元大関・千代大海)、藤平信一氏による『活の入れ方』より「第2章 自分を守る体づくり」の一部を再編集してご紹介します。
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肉体・体質改善は食べ物から
食事に関しては、工藤公康さんは、次のように話しています。
「私は現役時代、周囲の人から『工藤は食べ物にうるさい』とか『厳しい食生活を実践している』などと噂されていたようですが、そんなにうるさくはないですよ(笑)。
でもたしかに、食べ物のことは真剣に考えていましたね。きっかけは妻の影響です。
じつは、結婚した当時は肉体がボロボロでした。試合が終わっても疲れが抜けないし、筋肉が回復しない。だから、練習で走っても、すぐに疲れてしまいます。おまけに、お酒と寝不足で、肝臓も悲鳴を上げていました。
妻は、そんな私のために、食生活の管理に取り組んでくれたんです。肉体改善と体質改善ですね。妻がやっていることを見て、教わっているうちに、食べ物が体をつくっている、ということが少しずつわかってきました。『食べ物が大事』って当たり前なんですけど、それを自分の体を通して、実感したんです。
『なるほど、こう食べると、こうなるのか。こう変わるのか』と。続けているうちに、知識も増えてきました。それが会話とかにも出るんでしょうね。実際、体の変化を、チームの仲間たちも認めたのかもしれません」
人間の体は一日にしてならず
工藤さんは続けます。
「『工藤さん、肉食べちゃいけないんですか?』って聞かれたりして、いつの間にか『食事にうるさい』ってことに(笑)。
でも、肉がいけないわけじゃないんです。肉を食べるなら、量は抑えて、その分、野菜も食べるということです。これによって、肉を早く消化し、よりよく吸収できる。つまり、腸にかかる負担を軽くしてあげるんです。
お腹に食物が入っている状態で運動すると、ケガをしやすくなります。集中力も出ない。これは人間の生理的なものですが、当然ですよね。だって、お腹に食物があれば、胃腸はそれを消化しようとして、血液が集まってくるわけですから。その分、脳内の血液量が減って集中力は途切れるし、体の末端には血液が行き届かなくなる。その状態で急激に動いたら、筋肉が損傷しやすくなるわけです。だから、難しいことじゃないんです。
動物はエサを食べたあと、ゴロリと横になるでしょ。ようは、自然の摂理なんです。
私がやっていたのは、そういうことです。一律に『これを食べちゃダメ』とか『これを食べなきゃダメ』ということではありません。体調がよくないなら、内臓を休めるためにも消化吸収を助けてくれる食物を摂る。疲れているなら、回復できるものを摂る。それは個人の体質にもよるし、状況にもよる。
ようは、食べるタイミングやバランスが重要なんです。
一日では人間の体は変わりません。毎日の積み重ねです。何を食べるかより、むしろ、どんな食べ方をしているか、どんなことに気をつけているか、のほうが大事。それは自分の体に確実に反映されます。自分の体調や健康の状態は、自分が一番知っているはずです。
もちろん、栄養士さんに任せるのもいいのですが、やはり自分で考え、自分の体と向き合い、調整することが大事だと思うんです。食生活が悪ければ、体力は維持できませんから」
落合博満「ベストコンディションを保つには、『没頭する』ことだ」
自分の体は食べたものでできている――。当たり前のことなのですが、それを忘れてしまっている人も多いのではないでしょうか?
先日、落合博満さんのYouTube『博満の部屋』という番組を拝見しました。広岡達朗さんとの対談で、とても深い内容でしたが、中でも印象に残った言葉があります。
広岡さんが「必勝法70箇条」の第1条は「常にベストコンディションを保て」だと紹介し、「どうしたらベストコンディションを保てるか?」と落合さんに話を振りました。
それに対する落合さんの答えが、「ベストコンディションを保つには体力でしょうね」だったのです。広岡さんはさらに「じゃあ、体力をつけるためには、どういう生活をしたらいいか? どういう考え方をしたらいいか? と言える人いないよ」とけしかけると、落合さんはとてもシンプルに、こう答えたのです。
「それは、練習して、日々の生活でも野球に没頭することでしょうね」と。
やはり落合さんも、工藤さんや九重さんと、同じことを言っているわけです。三冠王を3度取り、名監督と言われる落合さんの「野球に没頭する」という言葉は、とてもシンプルですが、力強く、たしかなものです。そして「没頭する」という中には、当然、食べることも含まれます。ベストコンディションを保つためには、食事は欠かせないわけですから。
体力と言うと、筋力や持久力と思われがちですが、それだけではありません。
「体の力」と書くがごとく、自分の持つすべての力の総和が「体力」なのです。内臓の働く力や脳の働く力も、そこには当然含まれます。そうしたすべてのコンディションを整えるには、食事や睡眠など、日々の習慣が大事なことは言うまでもありません。その結果、コンディションが整い、体力が十分に使われ、自分の能力がフルに発揮されるわけです。
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続きは幻冬舎新書『活の入れ方』でお楽しみください。
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活の入れ方
どんな仕事もスポーツも、勝って成果を上げるためには、妥協を許さない厳しさ、貪欲に自分を鍛える必死さが欠かせない。
だが、それをどう教えればいいのか?
重要なのは、ぶれないこと、押し付けないこと、腹を割って話すこと、愛ある厳しさで臨むこと
――プロ野球界・相撲界のレジェンドと、国内外の名リーダーが師事する「心身統一合氣道」の継承者が忖度なく語り合った、出色の指導者論にして勝負論。