「余白」と聞くとみなさんは何を思い浮かべますか?文章の余白やデザインの余白など視覚的に空間があいていることがパッと浮かんだ方も多いはず。
17年前、日本から世界幸福度ランキング1位(2016/2017)のフィジーへ移住した永崎裕麻さん。日本とフィジーを行き来しながら日々の「余白」の重要性に気付いたそうです。多忙な毎日を抜け出し、人生に自分時間を取り戻す新連載「余白をつくる練習」がスタートです。
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世界幸福度ランキング1位の国フィジーは「余白」であふれている
はじめまして、フィジー共和国で英語学校の運営をしている永崎裕麻(ながさき ゆうま)です。
この連載では「余白のつくり方」についてお伝えしていきます。
そもそも、フィジーってどこにあるねん?
という方がほとんどだと思います。
フィジーは、人口90万人程度、約330の島から成り立つ南太平洋の上(オーストラリアの東、ニュージーランドの北)に浮かぶ島国です。
国土の総面積は日本の四国くらいの小国。日本からは直行便で約9時間の距離にあります。
20代の頃、「移住先を探す旅」に明け暮れ、これまで100カ国以上を訪問してきました。日本以上に住みたいと思えた国は、現時点ではフィジーだけ。そう思って2007年にフィジーに移住し、17年になります。
フィジーは世界幸福度ランキングで何度も1位に輝いたことがある「幸福先進国」です。
フィジー人の幸せの秘訣を一言でいえば「余白」にあると思っています。
人口密度が日本の1/10程度なので、空間的な余白もたっぷりありますし、南国特有ののんびりした時の流れにフィジー人たちは包まれています。
歩行速度もゆっくりで、心の余裕にも溢れているフィジーは、困っている誰かを見つけると、手を差し伸べずにはいられない共助社会です。
フィジーに移住した当初、近所のフィジー人たちからは、
「Yumaはいつも忙しそうやなー。なんでそんなに時間がないの? 1日なんて、日の出から日の入りまで、たっぷりすぎるほど時間があるのに…」
と、よく同情されていました。
「余白」を埋めたがる国ニッポン
フィジー移住初期の私を含め、スケジュール帳を真っ黒に埋め尽くすことにどこか安心感をおぼえる日本の方は多いのではないでしょうか。
日本人は「もったいない精神」が強く、「ヒマな時間」に罪悪感すらおぼえることがあります。少しでも意味のあることをやろうと、スキマ時間も効率的に活用すべく、通勤時も英単語覚えたり、本要約系のYoutubeで勉強したり(しかも倍速で見てる)と超多忙です。
そこに課題感はなく、「忙しい=充実ライフ」とさえ捉えています。
そんな生活を長年続けてきた結果、「自分自身には時間がない」というマインドが固定していて、いつも余裕が感じられなくなっています。
余裕がないから、ちょっとしたことでイライラ。ストレス解消のために、スポーツしたり、睡眠時間を十分に確保したりといった時間も取れないと思い込んでいます。
余白リテラシーを高めて自分時間を取り戻そう
「時間はある!」
本連載では、そんなメッセージを余白先進国のフィジーからお届けしていきます。
「日々、時間に追われている」「最近、余裕がない」といった方や、「余白」という言葉にビビッときた方。余白の価値を体感し、そして余裕を取り戻していく練習をスタートさせてみませんか。
「いやいや、南半球の、わけのわからん小国と日本の状況は全然違うんや。
そんな悠長なこと言ってたら、人生即、詰んでまうわ!」
と、突っぱねることはカンタンです。
ただ、どこかしらフィジーのエッセンスを生活に取り込む実験をしてみることで、目からウロコの発見はきっとあります。
ぜひ一緒に「余白リテラシー」を高め、日本で暗躍する時間泥棒たちから、僕たちの時間を取り戻しましょう。
余白をつくる練習
効率的に仕事をしても、それで空いた時間に別のことを入れて、一向にタスクが終わらないと感じたことがある人も多いはず。
私たちはいつになったらゆったりした時間を持てるのでしょうか。
世界100カ国を旅したあと、世界幸福度ランキング1位のフィジー共和国へ移住した著者が伝える、人生に自分時間を取り戻す「余白のつくり方」。