恋心と狂気はよく似ている――。
どん底を味わった著者が人生で出会った人たちとの交流を見つめなおし、再生していく過程を描いた渾身のエッセイ『私たち、まだ人生を1回も生き切っていないのに』。本作品より、小学六年生の苦い恋の思い出を綴った一篇「初恋は人を狂わせる」を、著者の小林エリコさんご自身によるコミカライズ版でお楽しみください。
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私たち、まだ人生を1回も生き切っていないのに
「孤独だったんですね」
その言葉を耳にして、私は喉の奥に何かが詰まり、次の言葉をつなげなくなった。自分が孤独だということは薄々感じていたけれど、それを認めたくなかったのだ――
いじめに遭っていた子供の頃、ペットのインコが友達だった。初めてできた恋人には、酷い扱いを受けた。たくさんの傷を負い、何度も死のうとしたけれど、死ねなかった。そんな私をここまで生かし続けたものは何だったのか。この世界には、まだ光り輝く何かが眠っているのかもしれない。そう思えた時、一歩ずつ歩き出すことができた。
どん底を味わった著者が、人生で出会った人たちとの交流を見つめなおし、再生していく過程を描いた渾身のエッセイ。
「人生はクソだ。それでも生きてさえいれば、いつか必ず美しいものに巡り合う。そういうふうに、できている」――はるな檸檬氏 絶賛!