英会話、資格の勉強、ダイエット、禁煙など、始めたいのにできない人には共通の傾向がある……! 行動科学マネジメントの第一人者、石田淳さんが誰がやっても成果を出せる実践的メソッドで「始め方」を指南する幻冬舎新書『始める力』より、一部を抜粋してお届けします。
「なるはや」では人は動けない 曖昧さを徹底排除しよう
なにかを始めるということは、「小さな行動」を取ることだと述べてきました。
「とにかくダイエットしなくちゃ」
「仕事の勉強を始めないと……」
こんなふうに考えていてもなにも始まらないのは、それが具体的行動に落とし込めていないからです。
部下指導が上手くいかないときなども、そこに具体的行動が欠如しているケースがほとんどです。
「できるだけ早くやっておいてね」
「限界まで頑張ってみろよ」
こんな指示は、行動科学マネジメントでは「最悪」と判断されます。曖昧もいいところだからです。
「できるだけ」って、どのくらいのことなのか。
「早く」って、いつまでのことなのか。
「限界まで」って、どこまでを言うのか。
「頑張る」って、そもそもなにをどうするのか。
まったくわかりません。こんな曖昧な指示で部下が正しく動けると思うほうがどうかしています。
セルフマネジメントも同様です。あなたが、なにかを始めようというときには、自分に具体的行動で指示を出してあげなくてはなりません。
では、「具体的行動」とは、どのように規定していけばいいのでしょうか。
行動科学マネジメントにおける「行動」は、次の4つの要素を充たすものと定義されています。
- M=Measured(計測できる)
- O=Observable(観察できる)
- R=Reliable(信頼できる)
- S=Specific(明確化された)
つまり、この中のどれか1つでも欠けたなら、それは行動ではないのです。行動でないのなら、結果にはつながらないというわけです。
行動科学マネジメントでは、この概念を「MORSの法則」と呼んでいます。
「MORSの法則」で明確な行動にする
では、ここで1つ基本的な質問をさせてください。
「あなたが始めようとしていることはなんでしょうか?」
この答えによって、それが上手く始められるかそうでないかが見えてきます。
- ダイエットする
- 法律の勉強をする
- 部下とのコミュニケーションを図る
- 親孝行する
- 日記をつける
- 婚活する
こんな答えなら、ちょっと雲行きが怪しくなります。
なぜなら、どれもこれも「行動」ではないからです。行動でないのなら、結果にはつながりません。
- ダイエットする → 1日2回、朝晩体重計に乗る
- 法律の勉強をする → 六法全書を1日10ページ読む
- 部下とのコミュニケーションを図る → 1週間に1回はランチをともにする
- 親孝行する → 毎月末土曜日に両親を食事に誘う
- 日記をつける → 寝る前の10分に最低3行は書く
- 婚活する → 今月中に婚活パーティーに2つ出席する
というように、「MORSの法則」を充たすところまで落とし込んだとき、はじめてそれは「行動」となります。
本当に行動となったとき、「なにをすればいいか」が明確で、ぐっと始めやすくなります。そして、結果につながるのです。
* * *
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