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日本一の幽霊物件 三茶のポルターガイスト

2024.06.19 公開 ポスト

古井戸の上に建つ最恐の心霊スポット「ヨコザワ・プロダクション」横澤丈二(ヨコザワ・プロダクション代表取締役)

謎の声が聞こえる、なぜか線香の匂いが立ち込める、天井や壁から手が出てくる、などさまざまな不可解な現象が起こるスタジオ「ヨコザワ・プロダクション」。このスタジオを30年以上運営する横澤丈二さんがその不思議な体験を綴った書籍『日本一の幽霊物件 三茶のポルターガイスト』は、『三茶のポルターガイスト』として映画化されました。さらに6月21日からはその続編となる『新・三茶のポルターガイスト』が公開。これを記念し、書籍の一部を抜粋してお届けします。

誰でも謎の存在が見える場所

霊感がなくても、誰でも謎の存在が見える場所──ヨコザワ・プロダクションは、三軒茶屋の駅から歩いて2分程度の三角地帯に立地している商業ビルの4階にある。

ここは普段、私のもとに通う俳優の卵や劇団員たちが、練習用の舞台として利用している稽古場なのだが、正直言って入居してから31年間、怪奇現象が起こらなかった日の方が少なく、見ようと思えばいつでも“存在”が見えたり感じたりできる場所である。

約130人在籍している私のスタジオ生たちも、そのうちの7割が何らかの心霊現象と遭遇しているし、夜の部の練習に来る劇団員に絞ればほとんどが幽霊を目撃している。

ヨコザワ・プロダクションの外観

よく、「そんなに幽霊が出るということは、事故物件なんですか?」という質問を受けるのだが、決してそういうわけではない。人が殺されたという話も聞かないし、自殺や孤独死をしたという話も聞かない。

ではなぜ幽霊が出るのかということを突き詰めていくと、やはり三軒茶屋という地域とは切り離せない気がしているのだ。

東京大空襲を超える焼失被害があった「三軒茶屋」

三軒茶屋は、芸能人や劇団員、デザイナーなどが多く住む栄えた町として知られているが、昔から交通の便もよく、人で賑わい、商店街の多い場所だった。元々、江戸期には太子堂村と呼ばれていたのだが、現在の世田谷通りと玉川通りの分岐点に3つの茶屋があり、神社に参る道中の休み処として一般に知られたことがきっかけで「三軒茶屋」と呼ばれだした。

三軒茶屋の駅前

明治30年代になると、三軒茶屋一帯は集中的に軍事施設がつくられ、明治40年には、玉電(玉川電気鉄道)が開通。関東大震災で家を失った都心に住む人々が、交通面で便利な三軒茶屋に多く流入し、人口が急増した。

しかし、太平洋戦争の大空襲で、世田谷区の中でも軍事施設が集中していた三軒茶屋周辺は重点的に攻撃を受ける。特に、ヨコザワ・プロダクションが入るビルが立地している周辺地域への空襲は、焼失面積だけでいうと東京大空襲を超える被害で、投下された焼夷弾も倍以上。死者数は東京大空襲ほどではないものの、それでも4500人近い市民がたった2日間で亡くなったといわれている。

そして戦後。古くから交通の要衝であった三軒茶屋にはヤミ市に始まり、多くの商店や飲食店、映画館が建てられた。現在は「キャロットタワー」をはじめ再開発により整備された区域がある一方で、昭和期のレトロな雰囲気を漂わせたままの区画も残っている。その一つが、ヨコザワ・プロダクションのある、三角地帯だ。

古井戸の上に建つヨコザワ・プロダクション

現在この三角地帯は、新宿のゴールデン街のような飲み屋街となっているが、かつてはヤミ市場だった。そのヤミ市場には様々な食料品店やその店の2階に住む住人らに利用された古井戸が2つあったそうだ。そして、そのうちの一つが、うちのビルの真下にあったといわれている。つまり、うちのビルは、古井戸を埋めた上に建っているということになる。

ヨコザワ・プロダクションの入り口ドア

稽古場で起きる心霊現象との関連は定かではないのだが「風水的な視点から見ても、井戸の上に家を建てることは凶相といわれているから、それが原因で幽霊が出るのではないか」と人から指摘されたこともある。

真相はわからないが、後述するように、うちの稽古場以外でも、ビルやビルの周辺で心霊現象が起きていることは確認している。やはり、何かこの土地が関係しているのではないだろうか。

しかも、全部ではないが、うちで起きる心霊現象は“水”に関連した事象も多い。やはり井戸と関連があるのではないだろうか……。勝手な憶測ではあるのだが、とにかくそんな場所なのだ。

 

もう一つ、注目すべき点がある。うちのビルの住所をGoogleストリートビューで調べると、ビルの内部でランドセルを背負った小学校低学年くらいの2人が歩いている写真が出てくるのだ。

しかし、ビル周辺は完全な飲み屋街のため、小学生を目撃することはほとんどない。しかも、ストリートビューの写真奥に写っている少年の手の周辺から、もう1本別の手のようなものが出ているのだ。さらに、手前の少女の顔はくっきりと写っているのに、ぼかしが入っていないのも奇妙な点。通常、顔が写っていたらGoogle側が顔全体にぼかしをかけるからだ。しかも、少女が写っている場所は、普段ゴミ箱が置いてある場所なのに、それが写っていないのも疑問だ……。

Googleストリートビューより

前置きはこれくらいにして、ここからは、ヨコザワ・プロダクションで起きた様々な心霊現象を稽古場の歴史を追いながら紹介していこうと思う。

もちろん、中には勘違いだったり、科学的に説明できたはずの出来事もあるのかもしれないが、ここに書いてあることはすべて、私やスタジオ生が実際に見て体験した話である。作り話は一つもない。それは誓って言えるのだ。

*   *   *

続きは幻冬舎文庫『日本一の幽霊物件 三茶のポルターガイスト』でお楽しみください。

関連書籍

横澤丈二『日本一の幽霊物件 三茶のポルターガイスト』

【三茶のポルタ―ガイスト】として映画化! 絶対に”なにか”いると噂の稽古場。これは一体、土地の因果か、誰かの怨念か――? 30年にわたって“出続けている”心霊現象を追う、リアル怪談ドキュメント。

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日本一の幽霊物件 三茶のポルターガイスト

謎の声が聞こえる、なぜか線香の匂いが立ち込める、天井や壁から手が出てくる、などさまざまな不可解な現象が起こるスタジオ「ヨコザワ・プロダクション」。このスタジオを30年以上運営する横澤丈二さんがその不思議な体験を綴った書籍『日本一の幽霊物件 三茶のポルターガイスト』は、『三茶のポルターガイスト』として映画化されました。さらに6月21日からはその続編となる『新・三茶のポルターガイスト』が公開。これを記念し、書籍の一部を抜粋してお届けします。

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横澤丈二 ヨコザワ・プロダクション代表取締役

1964年生まれ。東京都出身。高校1年より、クラリネットを故・北爪利世氏に師事。日本大学芸術学部を経て、1986年、無名塾に入塾。俳優として、数々の舞台・テレビ・映画に出演。1990年には、株式会社ヨコザワ・プロダクションを設立。同年、ヨコザワ・アクターズ・スタジオ設立。現在は、脚本家・演出家として、テレビドラマを始め、舞台・映画・ラジオドラマを手掛けている。全てのジャンルを含めると、これまでに500作品以上の作品を創作している。2023年3月 日に、ヨコザワ・アクターズ・スタジオの稽古場を舞台とした映画『三茶のポルターガイスト』が全国公開される。株式会社ヨコザワ・プロダクション代表取締役。ヨコザワ・アクターズ・スタジオ主宰。劇団四重奏主宰。日本芸能マネージメント事業者協会会員。日本音楽著作権協会会員。大嶽部屋東京大竜会理事。東京江東ロータリークラブ元会員

 

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