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スタンフォードの眠れる教室

2024.06.30 公開 ポスト

パートナーの「いびき」を止める2つの簡単な方法西野精治

睡眠不足から不眠症、夜ふかし、いびきまで、まさに現代病ともいえる睡眠のトラブル。スタンフォード大学医学部教授・西野精治さんの『スタンフォードの眠れる教室』は、そんなあなたのお悩みを科学的エビデンスをもとに解決へ導いてくれる一冊。睡眠の誤った常識をくつがえし、眠りの研究の最前線がわかる本書から、内容の一部をご紹介します。

パートナーのいびきに困ったら

男性でも女性でも睡眠時無呼吸症候群のリスクは同じ。パートナーがいびきをかいていたら、次の方法を試しましょう。

  • 体を横向けにする
  • 背中を軽くさわる

ただこれだけのことで、いびきは結構止まります。あまり強くやると目が覚めてしまいますので、やさしくしてあげましょう。「うるさい!」と怒りに任せてどつくのは厳禁で、夫婦喧嘩になったり、その後寝ついてもまたいびきをかいたりします。

一緒に寝ている男性のいびきに困る女性の写真

いびき以外にも睡眠時無呼吸症候群のサインはあります。頻繁に寝返りを打っているのは、呼吸が止まって苦しいからかもしれません。

神経や血管の圧迫でも寝返りは起こりますし、個人差が非常に大きいので一概にはいえません。一晩で何十回も寝返りを打っても問題ない人もいます。

 

ちなみに「うつ伏せと仰向けのどちらが良い睡眠を取れますか?」と聞かれますが、どちらでも入眠しやすければ問題ありません。

ただし、うつ伏せ寝では乳幼児突然死症候群と呼ばれる乳児の突然死のリスクが上がります。

乳幼児突然死症候群は1歳未満、特に月齢2か月から6か月程度の乳児で、日本で年間150人程度と頻度が高い疾患ではありませんが、何の予兆もないままに、突然死をもたらす疾患ですので、その時期のうつ伏せ寝は注意が必要です。

 

大人でのうつ伏せ寝は、好みの問題でリスクはないと思われます。その姿勢によっては、いびきや、無呼吸のリスクに影響が出る可能性もありますが、そのあたりは好みと就寝時の観察によると思います。

歯ぎしりの原因は筋弛緩のアンバランス

同室で眠っている人のいびきも気になるものですが、歯ぎしりも案外、音がします。歯ぎしりがひどいと歯が割れてしまうこともありますので、歯科医に予防のマウスピースを作ってもらうといいでしょう。歯のすり減り具合ですぐにわかります。

睡眠中には筋の弛緩が起こりますが、強い歯ぎしりをしている人は、それが起こりません。咬筋がスイッチオンだから嚙み締めてしまうのです。

歯ぎしりをする女性の写真

若い人の歯ぎしりはストレスなど一過性のものも多く、自然に治ることもありますが、若い頃から歯ぎしりをしていて、それが変わらず続いているのなら、その人の癖のようなものです。過度に気にしないほうが良いと思いますが、歯に損傷が及ぶ場合には専門医に相談すれば良いでしょう。

歯ぎしりも睡眠障害で、睡眠の専門医が診察治療を行いますが、睡眠歯科の専門家もおられます。大阪大学の加藤隆史先生は、世界でも珍しい歯ぎしりの専門家です。

寝言はストレスが原因の可能性も

寝言も睡眠時随伴症候群。高齢者の場合と同様、脳のトラブルが隠れている可能性もありますが、症状が変化しないならそれほど心配しなくても良いです。ノンレム睡眠でもレム睡眠でも起こり、ノンレム睡眠の時のほうが頻度が高いぐらいです。

それでも自分がたまたま目が覚めた時や入眠していない時、隣で寝ている人がしゃべれば気になりますよね。

「隣で寝ている妻があまりにもしゃべるので、起きているのかと思った」

「夫が寝ながら笑っていて不気味だ。何の夢を見ているのか?」

そんな会話を交わしたことがあると思います。

あまりにも寝言が激しい時は、日中の出来事が影響していることもあります。子どもに多いのですが、これはまだ脳が発達段階だから。

大人の場合は非常に印象的な出来事やストレスがかかることがあるとそれが夢に影響し、寝言を伴うこともあります。睡眠不足やストレス、アルコール摂取が寝言につながることもあります。

 

夢はレム睡眠の時に見ますが、この時の筋の弛緩と脳の覚醒のアンバランスが高じたものが俗にいう「金縛り」です。体が寝ているのに脳が起きていて、幻覚様の夢を見るのです。動けなくて恐ろしい……。

極端な場合は、人が壁から出てくるような幻覚に近いものを見ることがあります。健常者でも2~3割に見られますが、金縛りの要素である入眠時幻覚と、睡眠麻痺は、昼間の眠気、情動脱力発作とともにナルコレプシーの4つの特徴としてあげられています。

関連書籍

西野精治『スタンフォードの眠れる教室』

寝られなくても大丈夫! 科学的エビデンスで長年の悩みを解決 究極の覚醒を手に入れろ 睡眠の誤った常識を覆す、眠りの研究最前線

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スタンフォードの眠れる教室

睡眠不足から不眠症、夜ふかし、いびきまで、まさに現代病ともいえる睡眠のトラブル。スタンフォード大学医学部教授・西野精治さんの『スタンフォードの眠れる教室』は、そんなあなたのお悩みを科学的エビデンスをもとに解決へ導いてくれる一冊。睡眠の誤った常識をくつがえし、眠りの研究の最前線がわかる本書から、内容の一部をご紹介します。

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西野精治

スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠・生体リズム研究所(SCNラボ)所長。医師、医学博士。株式会社ブレインスリープ最高研究顧問。

1955年大阪府生まれ。1987年、当時在籍していた大阪医科大学大学院からスタンフォード大学医学部精神科睡眠研究所に留学。突然眠りに落ちてしまう過眠症「ナルコレプシー」の原因究明に全力を注ぐ。

1999年にイヌの家族性ナルコレプシーにおける原因遺伝子を発見し、翌2000年には研究グループの中心としてヒトのナルコレプシーの主たる発生メカニズムを突き止めた。

2007年、日本人として初めてスタンフォード大学医学部教授に就任。睡眠・覚醒のメカニズムを、分子・遺伝子レベルから個体レベルまでの幅広い視野で研究している。

2019年、ブレインスリープを創業。現在は最高研究顧問を務めている。

1963年にウィリアム・C・デメント博士により創設された「スタンフォード大学睡眠研究所」は、世界の睡眠医学を牽引しており、数多くの睡眠研究者を輩出していることから「世界最高の睡眠研究機関」と呼ばれている。

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