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武器になる教養30min.by 幻冬舎新書

2024.07.26 公開 ポスト

ムダなく、最短距離で、正しそうに…文系ビジネスパーソンが知っておきたい「数学的コミュニケーション」武器になる教養30min.編集部

ものごとを数字で把握し、論理的に伝える……。文系ビジネスパーソンにも、「数学的スキル」が必要であると言われるようになった昨今。ロングセラー『数学的コミュニケーション入門 「なるほど」と言わせる数字・論理・話し方』の著者として知られる深沢真太郎さんは、「数学のようにコミュニケーションしましょう」と提唱します。それはいったい、どういうことなのか? ご本人にくわしくうかがいました。

*   *   *

「数学的コミュニケーション」とは何か?

──『数学的コミュニケーション入門』の出版から7年がたちました。当時と比べて、ご自身の中で何か変化はありましたか?

私が提唱してきた「ビジネス数学」のゴールがなんなのか、はっきりしてきたと思います。7年前は、「データを使いましょう」「計算がちゃんとできるようになりましょう」「論理的に数字を使って考えましょう」というように、「思考」がテーマのコンテンツだと思っていました。

ところが、現場で働いている人たちとお話ししているうちに、彼らが求めているのは思考ではなく「コミュニケーション」だとわかってきたんです。

たとえば、社長にプレゼンをしたり、お客さまの合意を得たり。仕事という営みは、最終的には必ずコミュニケーションをしなくてはなりません。だから、みんなそこで悩むわけです。

 

ビジネス数学というコンテンツも、ビジネスパーソンのコミュニケーションに作用しなくてはいけない。ゴールはそこなんだよな、というのがはっきりわかった7年間でした。

その意味では、7年前に『数学的コミュニケーション入門』というコンテンツが生まれたのは素晴らしいことだなと。ものすごく本質的な内容の1冊なんだろうなと、今でも思っています。

 

──「数学的コミュニケーション」とは、そもそもどんなものなのでしょうか。

すごく簡単に言うと、「数学のようにコミュニケーションしましょう」ということです。「数学のように」というのは、ムダなく、最短距離で、正しそうに、という意味です。

 

──「正しい」ではなく、「正しそうに」なんですね。

学校の勉強では、「正しく」論じることができましたよね。なぜなら、数学の計算問題や証明問題には、唯一の正解があるからです。

ところが、私たちが生きているビジネスパーソンの世界は、何が正しいのかわかりません。もしかしたら、「正しい」なんて存在しないのかもしれない。だから、「これが正しいです」ではなく、「これが正しそうです」というのが大事なんです。

 

仕事をうまくやっている人って、正しいことをしゃべっているのではなく、ものごとを「正しそうに」しゃべっているんですよね。これってすごく微妙なニュアンスで、なかなか伝わりにくいんですが……。

しゃべっていることが正しいかどうかなんて、誰にもわからない。でも、「あいつの言うことって、なんか正しそうなんだよな」と思わせることはできる。これはビジネスパーソンが欲しいスキルなのではないかと思います。

「数学的」よりも大事なものがある

──本書の第4章では、「話し方」についてもくわしく論じていらっしゃいますね。

私には、お手本だと思っている話し方があります。それは、「わかりやすい授業をする数学の先生」です。

なぜお手本なのかというと、まず説明が論理的であること。これは当然で、数学の先生が論理的でなかったら大変ですよね。

 

さらに、本当にわかりやすい授業ができる先生は、たとえが上手なんです。たとえば、分数の計算を教えるときに、ピザやケーキに置き換えて説明してくれる先生はいませんでしたか?

なぜ、わざわざ置き換えるのかというと、そのほうがわかりやすいからです。このように、別のものに置き換えるとか、「たとえばどういうことなのか」という話をポンッと入れるのは、私たちのビジネスコミュニケーションにおいても重要なことだと思っています。

 

人の話を聞いていて、「それって、たとえばどういうこと?」と思うときってありませんか? あるいは、すごくロジカルなことを言っていて、言っていることはわからないでもないけれど、どうもスッと落ちなかったりとか。

そういうときに、わかりやすい比喩、たとえみたいなものが入るだけで、「ああ、そういうことが言いたかったのね。なるほど、それならわかるわ」と納得できますよね。

わかりやすい授業をする数学の先生の話し方は、ビジネスコミュニケーションと非常に親和性が高い。みなさんぜひ、お手本にしていただきたいですね。

 

──この本の中で、とくに読者のみなさんに読んでほしい箇所はありますか。

最後のほうでちょっとだけ言及した、「数学的よりも人間的」という部分はすごく大事だなと今でも思っています。

『数学的コミュニケーション入門』というタイトル通り、この本は「数学的」であることを推奨しています。しかし一方で、100パーセント数学的にしてしまうと、コミュニケーションはうまくいきません。

数学的であることは大事だけど、それだけではうまくいかないよということです。この本はある意味、矛盾をはらんでいるんです。

 

では、本当に大事なのはなんなのか。それは、「人間的」であることです。人間的というのは、たとえばですが、相手とちゃんと目を合わせる、相手をリスペクトする。そういったことです。

そうした態度があったうえで、少しだけ数学的であれば、ビジネスコミュニケーションはうまくいくのではないでしょうか。

 

※本記事は、 Amazonオーディブル『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』より、〈【前編】深沢真太郎と語る「『数学的コミュニケーション入門 「なるほど」と言わせる数字・論理・話し方』から学ぶ数字との接し方」〉の内容を一部抜粋、再構成したものです。

 Amazonオーディブル『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』はこちら

書籍『数学的コミュニケーション入門 「なるほど」と言わせる数字・論理・話し方』はこちら

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武器になる教養30min.by 幻冬舎新書

AIの台頭やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進化で、世界は急速な変化を遂げています。新型コロナ・パンデミックによって、そのスピードはさらに加速しました。生き方・働き方を変えることは、多かれ少なかれ不安を伴うもの。その不安を克服し「変化」を楽しむために、大きな力になってくれるのが「教養」。

『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』は、“変化を生き抜く武器になる、さらに人生を面白くしてくれる多彩な「教養」を、30分で身につけられる”をコンセプトにしたAmazonオーディブルのオリジナルPodcast番組です。

幻冬舎新書新刊の著者をゲストにお招きし、内容をダイジェストでご紹介するとともに、とっておきの執筆秘話や、著者の勉強法・読書法などについてお話しいただきます。

この連載では『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』の中から気になる部分をピックアップ! ダイジェストにしてお届けします。

番組はこちらから『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書

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武器になる教養30min.編集部

AmazonオーディブルのオリジナルPodcast番組『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』を制作する編集部です。

『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』は“変化を生き抜く武器になる、さらに人生を面白くしてくれる多彩な「教養」を、30分で身につけられる”をコンセプトにした番組です。

番組はこちらから『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書

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