モロッコを旅した際、マラケシュ旧市街地にあるジャマ・エル・フナ広場で出会ったのは、「稼ぐとは何か」を考えさせられる光景でした。
モナコのパレスエリアで暮らす唯一の日本人・エミチカさんからの新刊『「逢いたくなる」オーラをはぐくむモナコからの言葉77』より、すべての女性をチアアップしてくれるメッセージをお届けします。今回は「稼ぐ」ことについて。
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私が大好きな国の1つに、モロッコがあります。アフリカ北西端に位置するモロッコは、サハラ砂漠に代表される圧倒的な自然風景や、迷宮都市ともいわれるフェズ旧市街などの歴史都市、そしてカサブランカなどの近代都市が融合し、いろいろな顔をあわせ持つ国です。
そんなモロッコを旅した際、マラケシュ旧市街地にあるジャマ・エル・フナ広場で出会ったのは、「稼ぐとは何か」を考えさせられる光景でした。
フナ広場は、もともとは公開処刑場として使用されていたそうですが、中世からは市場や様々なイベントが開催される広場として愛され、2009年には世界無形遺産に登録されています。
軒を連ねる露店と買い物客、そして大道芸人や観光客がひしめき合うこの場所は、「世界一賑やかな市場」と表現されるほどの熱気に満ちています。
そんなフナ広場を散策していると、生鮮食品や衣料品を販売する露店や、食べ物を売る屋台はもちろん、何に使うのかわからないような竹細工を売っている人、これまたいったい何の役に立つのかわからないような、針金を曲げただけの道具を売っている人もいます。
かと思えば、少し歩くとヘビ使いや、猿回しを披露する大道芸人もいます。フナ広場はまさに十人十色のビジネスが垣見える「個人商店の見本市」のような場所なのです。
広場の商人たちはみな、各々の軍資金や懐事情に合わせてオリジナリティのある商売を営み、たくましく稼いでいました。そんな姿を見た私は、「美しく稼ぐ」とはこういうことなのだと感動したのです。
「稼ぐ」ということは、自分の能力との対価交換です。能力が高いかそうでないかにかかわらず、自分の力で稼いだお金は均しく「美しいもの」です。
はなから誰かにお金を恵んでもらおうとしなくても、竹ひご1本あれば、針金1本あれば商品を作って商売ができるのです。
私には、フナ広場で商売をする人たち全員が、自分の力で「稼ぐ」ことを誇らしく思い、自分で選んだ商売に誇りを持っているように見えたのでした。
現代社会に生きる私たちは、「稼ぐ」ことに対してあまりにも潔癖で、難しく考えすぎなのかもしれません。スキルを身につけないと置いて行かれてしまう、リスキリングしないと生き残れない。そんな焦燥感が常につきまとっています。
ですが本当は、焦る必要なんてないのかもしれません。
少なくとも、私がフナ広場で出会った商人たちを見ていると、自分が今持っている能力を最大限活かすことで、誰もが誇りを持って稼いでいました。
自分が持っていないものを数えて不安になるより、今持っている能力を使いこなす。それで十分なのではないでしょうか。あらゆることが複雑になりすぎた現代だからこそ、私はフナ広場で出会った「美しく稼ぐ」商人たちのことを、けっして忘れず心に留めておきたいと思っています。
「逢いたくなる」オーラをはぐくむモナコからの言葉77
女性起業家として大成功した、モナコのパレスエリア(王宮前)で暮らす唯一の日本人、エミチカさんがモナコから届ける、みんなから「逢いたいな」と思われる人になるためのメッセージ77。「美しい野心」「図々しくエレガンスに」「美しく稼ぐ」「破壊と再生」「一人オセロ」など、背中を押してもらえる言葉によって、仕事でも私生活でも誇らしく美しく歳を重ねられるでしょう。心の「ヨロイ」を脱ぎ去れば「できない」が「できる」に変わります。そばにいるだけで「強運」を引き寄せる人を目指して。