AIに淘汰されかねない時代は、見方を変えれば、AIを使いこなすことで大化けできる時代でもある。そこは、過去に役立った偏差値などの評価基準はほぼ意味を持たない世界です。
「伸びしろのある子ども」とはどんなタイプか?いったい、どんな側面に注目して子どもを伸ばしていけばいいのか?
全12のポイントの中から、少しだけ紹介!富永雄輔さんの最新刊『AIに潰されない「頭のいい子」の育て方』より。
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7 大人の怒りを察知、理解できる――「怒られない時代」で損をする可能性
学校のみならず、職場でも「怒る」という行為は忌避されつつあります。部下の育て方マニュアルには、「怒るのではなく叱ることが大事」などと書かれています。
つまり、感情的に爆発するのではなく、冷静に直すべきところを指摘しろ、ということでしょう。
こうした風潮にあって、教師も上司も「怒らないように、怒らないように」と自分を律しています。でも、行動を律しているだけであって、「なにやってんだよ」「ダメじゃないか」と湧き出る衝動がなくなっているのではありません。ただ、それを出してはいけないから、言葉を選んで丁寧に接しているわけです。
もちろん、世の中にはひどい教師も上司も存在しており、彼らは不条理に怒鳴り散らしたり、ときに暴力的になったりします。そのために、将来をズタズタにされてしまう子どもや部下がいるのは事実です。だから、「怒ってはいけない」という流れ自体は歓迎されるところです。
だからといって、「相手が怒りの感情を抱いたかもしれない」ということに鈍感な子どもでいてほしくもないのです。
大人の顔色を窺えという意味ではありません。「もしかしたら自分は悪いことをしたのかもしれない」という内省は、誰も怒ってくれない時代だからこそ必須です。
繰り返し述べますが、AIが台頭するデジタルの時代には、ときおり発生するアナログの関係の重みが増します。たまに教師や上司が注意してくれること、注意まではしてくれないけれど、なんとなく諭してくれることの価値は非常に大きいのです。
それを正しく察知できる子どもに育てましょう。
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【新刊】AIに潰されない「頭のいい子」の育て方
生成AIの台頭により、5年後には今ある職業の2割が消えると言われる。まず淘汰されるのは、ホワイトカラーの中のエリート層だ。そんな時代の「頭のよさ」とは何なのか。親は何を目指して子どもを育てればいいのか。「親自身の成功体験を忘れろ」「“一つを極めろ”より、“あれもこれも”の選択肢を」「いつも勝てる場より、競争を」など、親の価値観転換を迫る緊急提言とともに、「愛嬌がある」「負けた回数が多い」など、伸び伸びと強く生きていける子どもの特徴も解説。子どもの未来への不安を払拭する、きれいごと抜きの実践的子育て論。
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