AIに淘汰されかねない時代は、見方を変えれば、AIを使いこなすことで大化けできる時代でもある。そこは、過去に役立った偏差値などの評価基準はほぼ意味を持たない世界です。
「伸びしろのある子ども」とはどんなタイプか?いったい、どんな側面に注目して子どもを伸ばしていけばいいのか?
全12のポイントの中から、少しだけ紹介!富永雄輔さんの最新刊『AIに潰されない「頭のいい子」の育て方』より。
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8 自分のアイデンティティがわかる――「英語だけ」では国際人になれない時代
今後さらにグローバル化が進み、とくにビジネスにおいて国境はあまり意味を持たなくなります。みなさんの子どもたちの時代には、望むと望まざるとにかかわらず、誰もが「国際人」として働かねばなりません。
こうした状況にあって、たしかに語学力はあったほうが有利です。しかし、流暢に英語がしゃべれる人と、まったくダメな人の差は、AIが登場したことでうんと縮小していきます。実際に、「ハロー」と「サンキュー」くらいしか言えない人でも、翻訳ソフトを使うことで充分に外国人相手の商売ができています。
一方で、いくら流暢な英語を披露しても、「この人と一緒に仕事がしたい」という魅力を出せなければ、語学力などなんの役にも立ちません。
外国人や外国企業を相手にするときに問われるのは、「この人はどれほど英語が話せるか」ではなく「この人はどういうアイデンティティの持ち主か」です。
まず、忘れてはならないのは、私たちは日本人だということです。そのため日本の文化や歴史を理解し、伝えられる人でなくてはなりません。その上で、他国で活動する意味を説明できてこそ、相手は認めてくれるでしょう。
サッカー選手であっても同様です。日本人に限らず海外で活躍できている選手は、みんな母国を深く理解し、誇りに思っています。そうした軸がないと、いくらぺらぺら英語で話すことができてもダメなのです。真の国際人は、語学だけでなく、文化・文学・音楽・スポーツなどにも造詣があるものです。
これからは、自分のアイデンティティについて、きちんと述べられる子どもが求められます。そのためにも、語学を学ばせるだけでなく、普段から家族で日本の文化や歴史について話すといいでしょう。もちろん、ほかの国々についても、いろいろ教えてあげましょう。
みなさんの成功法則を子どもたちの将来にあてはめてはなりませんが、経験してきたこと自体については、なんでも話してあげましょう。
【新刊】AIに潰されない「頭のいい子」の育て方
生成AIの台頭により、5年後には今ある職業の2割が消えると言われる。まず淘汰されるのは、ホワイトカラーの中のエリート層だ。そんな時代の「頭のよさ」とは何なのか。親は何を目指して子どもを育てればいいのか。「親自身の成功体験を忘れろ」「“一つを極めろ”より、“あれもこれも”の選択肢を」「いつも勝てる場より、競争を」など、親の価値観転換を迫る緊急提言とともに、「愛嬌がある」「負けた回数が多い」など、伸び伸びと強く生きていける子どもの特徴も解説。子どもの未来への不安を払拭する、きれいごと抜きの実践的子育て論。
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