あなたの「座右の銘」、古くなっていませんか?
突然ですが 、皆さんは「座右の銘」をもっていますか?
そして、それはいつ頃に決めた言葉ですか?
座右の銘とは、常に心に留め、生き方の参考や戒めとする言葉のことを指します。一度決めた座右の銘はなかなか変える機会が少ないものです。就職活動のときなんかに、自己分析や面接対策で考えて以来、アップデートしていない人が多いのではないでしょうか。
若い頃には「努力は必ず報われる」といった言葉が心の支えとなり、目標に向かって突き進む原動力となったかもしれません。しかし、年齢を重ねるとともに、価値観は変わっていきます。家族が増えたり、転職や転居を経験したり、付き合う人たちが変わったり、仕事に対する考え方が変わったり、健康への配慮度合いが高まったりする中で、昔の座右の銘が現在の生活や優先順位と乖離してしまうこともあります。
僕の新卒時代は「24時間戦えますか」というCMのキャッチコピーが、会社内で感じられる時代でした。「なせばなる」「継続は力なり」「勤勉は成功の母」など、努力や成功を強調する力強さが感じられる座右の銘が幅を利かせていたかと思います。
時代は変わり、働き方改革やコロナ禍を経て、人々の価値観がシフト。「ワークライフバランス」「メンタルヘルス」「ウェルビーイング」といった新しい価値観が注目されるようになりました。
これらの変化に呼応するように、「いまを生きる」「60点でいい」「Less is more」といった、リラックスできる余白系の座右の銘が増えてきているように感じています。
フィジーと比べると、日本では「競争」「成長」「自己責任」といった、肩に力が入る言葉に触れる機会が多いと感じます。「協調」「幸せ」「適度」といった、心を軽くし、自分をゆるめてくれる座右の銘を取り入れることで、日々の生活に余白を生み出し、精神的に余裕をもつことができます。
普段、「そうだ、座右の銘を変えてみよう!」とはなかなか思わないでしょう。この記事をきっかけに現在の自分にフィットする「シン・座右の銘」にアップデートしてみるのはいかがでしょうか。
本連載はテーマが「余白」なので、余白感のある座右の銘を、タイプ別に3つ紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
3タイプの「余白系」座右の銘
(1)自己受容系
・ありのままの自分でいい
・比較は幸せ泥棒
・生きてるだけでまるもうけ
・短所こそ個性
・人間だもの
「自分をそのまま受け入れる」ための座右の銘です。自分の長所も短所も全て受け入れ、自己肯定感を高めるのを助けてくれます。自己否定や自己批判をする傾向がある人に「自分を許す」ことの重要性をリマインドします。
(2)脱ストレス系
・たかが仕事
・結果よりプロセス
・脱パーフェクト(ほどほどでいい)
・手放す勇気
・今日できることは明後日やろう
「日々のストレスからの解放」を目指す座右の銘です。仕事や人間関係などからの圧力を軽減し、心の平和を取り戻すために機能します。
(3)QOL系(Quality Of Life / 生活の質)
・いまここ
・趣味ファースト
・一日一笑
・Enjoy My Life
・余白しか勝たん
「生活の質を向上させる」ための座右の銘です。ウェルビーイングの向上を追求し、人生で本当に大切なことに時間を使うように促してくれます。
「座右の銘」と「座左の銘」
いま大事にしている「座右の銘」を手放す必要もありません。そもそも、座右の銘は1つに絞らなければならない訳ではありません。
僕が実践しているのは、座右の銘を2つ決めて、1つ目を「座右の銘」、2つ目を「座左の銘」と名付けて二刀流でいくことです。右手に剣(攻撃用)、左手に盾(防御用)を持つがごとく、挑戦系の座右の銘と、余白系の座左の銘でバランスをとることができると考えています。
現代の忙しい生活の中でも心の余裕を保ち、豊かな生活を送るために、座右の銘を定期的に見直し、その時々の自分に合った言葉を選ぶことで、日々の生活に新たな彩りを加えることができるのではないでしょうか。
ちなみに僕の座右の銘は「キッカケはいつも変なこと」、座左の銘は「No reason is the best reason(“なんとなく”は最高の理由)」です。
どちらも「いつでも変えていいんだ」というぐらいのゆる~い気持ちでぜひ楽しんで考えてみてください。
余白をつくる練習
効率的に仕事をしても、それで空いた時間に別のことを入れて、一向にタスクが終わらないと感じたことがある人も多いはず。
私たちはいつになったらゆったりした時間を持てるのでしょうか。
世界100カ国を旅したあと、世界幸福度ランキング1位のフィジー共和国へ移住した著者が伝える、人生に自分時間を取り戻す「余白のつくり方」。