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あぁ、だから一人はいやなんだ。

2024.08.30 公開 ポスト

第230回 ダイエットいとうあさこ

先日オンエアした「世界の果てまでイッテQ!」は『夏の女芸人 ダイエット合宿スペシャル』。女芸人12人が2チームに分かれて、韓国で3日間のダイエット対決をしてまいりました。スタジオ収録の時には内村さんに「ダイエットしてきたんだよね?」と聞かれるほど元通りでしたが、その3日間は本当にみんな頑張りました。

 

私のダイエットは実に14年ぶり。37、8歳の頃から何回かテレビのダイエット企画がありまして。ただ体は昔からしっかりがっつり筋肉質タイプだったもので、「痩せるのはかなり大変なので人の倍、頑張ってくださいね」と毎回言われておりました。しかもまだほんの少しテレビに出始めたくらいの“若手”ではありますが、若いわけではないのでそもそも体重も落ちにくいですし。そんなわけで毎回相当頑張らなきゃいけないので、相当頑張りました。性格上、まあまあ根詰めてやってしまうので、それなりに結果も出していたのです。ただね、終わった後いろんな面でのプラマイを考えた時、私にはどうしてもマイナスが大きかったんですよね。昔「ぜったいキレイになってやる」というエステのCMがありましたが、ダイエット後の私、何て言うんでしょうね。“小ギレイ”くらいにはなっているんですが、ホントいろんな要素が入ってきますがまあ、“キレイ”、ではない。その割には生きていて一番大事とする“食”を我慢するストレスの大きさ。「ダイエット中なんで今食べられないのよ」と言って相手に気を使わせるのもイヤだったので、人とご飯に行くのも辞めて。その結果が“小ギレイ”だと、ねぇ、ちょっとねぇ。プラマイ合わないなぁ、って。なので40歳ちょうどの時に来たダイエットの仕事を最後に、もう公私共にダイエットはなし、となりました。

ちなみにそのラストダイエットは3か月のいわゆる置き換えダイエット。運動も取り入れて、かなり絞り込みました。そして最後、ショートムービーのご褒美。わたくしがヒロインで、要は“太ったOLがイケメンに恋をする”ストーリー。最後、ちゃんと痩せて恋が実る、的なヤツです。その相手役がまさかの、若手時代の松坂桃李さん。ラストは駆け寄って、抱きついて、グルグルグルグルー、みたいな。もう一生ない、奇跡の経験。ありがたや。

まあこれで私としてはダイエット、やり切った感じになりまして。体重計も捨てちゃって。もう「好きに食べていきます」という私の意思表示。もちろん年一の人間ドックも含め、健康チェックをちゃんとやって、ですが。ただここから、太りましたねぇ。ちゃんと太りました。いやね、それまで特に食べ物の量など気にしなくてもそんなに太った事がなかったんです。まあ痩せているわけではなかったけど、太ってもなく。ずっと一定。だから「結局人には限界があって、これ以上にはならない」と高を括っていたのです。それがこの時、ちゃんと太った。なんでしょね。40代に入って体もいろいろ変わったのかな。あとうっかり腰の骨を折っちゃいまして。ちょうどそのタイミングで一日に何軒も定食屋さんをハシゴするような食べロケにめっちゃ呼ばれるようになって。動けない時に、通常の何倍ものお食事をいただくわけですから、そりゃあね、っていうのもあったかも。とにもかくにもちゃんと太り、今に至ります。

で今回の14年ぶりダイエット。いろんなことやりました。まずはバンジーフィットネス。その名の通りバンジーのように天井からぶらさがっているゴムに吊るされやるフィットネス。一度「上田と女が吠える夜」の韓国ロケでも体験した事があるのですが、今回はそれよりも長時間、みっちりやりました。基本は音楽もかかっているし楽しいのですが、時間が経つにつれ、ハーネスが足の付け根に食い込んできて痛いし、見た目より何倍もハード。そしてちょっと無重力みたいな感じなので、終わってハーネス外した途端、自分の重さを感じてむしろ「太った?」と。でも本当に内側から絞り出されるような汗が大量に出ました。

謎のダイエット道場へも行きました。塩水1ℓを10分以内に飲みきって、そのまますぐに飛び跳ねたり大声出したりしてめっちゃ動く。しばらくするとお腹がグルグルグル。お通じがよくなる、とのこと。ただその塩水がちょっとぬるくて、それを一気に飲むのはなかなか難しい。気持ち悪くて喉を通っていかないのです。半分越えた頃にやっと“無”になることを覚え、なんとか飲み切りましたが。まあオカリナは一気に飲んでいたけれど。「私、こういうのいけます」と。さすが。

そして極めつきはチムジルバン。炭で窯の中を高温に熱する韓国の伝統的なサウナです。ピザの石窯を想像していただいたら大正解。あの中にうちらが入る、そんな感じです。窯の中は200℃。何? 200℃って。入ってみるとまず足の裏が熱すぎて立っていられない。なのでお尻の下に敷く用と足をのせる用と、2本の木片を持って中へ。あとはバスタオルで顔や背中を守る。ただ面白いもので、入ってしまうとなんか、いれちゃう。その直に熱さを感じる足裏や顔を守れれば、だんだん温度がよくわからなくなる。そう言えば以前ロケで草津だったかなぁ。50度近いお湯に入ったことがあるのですが、最初もちろん熱いですよ。でもなんとか中に入れた時には「あれ? 冷たい?」と。要はもう体が温度も、もはや温冷の具合もわからなくなっちゃうくらいヤバい、ってことなんですが。それと同じ。ホント、“いれちゃう”って感じ。外に出てくると、それまで「暑いなぁ」と思っていた韓国の外気が涼しく気持ちよかったりして。

そんなこんなの3日間。スタート時には73.6kgあったわたくしの体重も最終測定の時には68.6kg。マイナス5kgという結果。まあ“そもそもの体重が”問題はあると思いますが、どうぞそこはご容赦ください。それにしてもダイエットって本当にいろいろありますね。すごい。ただわたくしは再び“NOダイエット”の世界へ。終わった途端、サムギョプサルをつまみにビール&マッコリをたっぷりと。“ちゃんと”戻して帰国いたしました。いやぁ、“食”って、本当にいいもんですね。イヒヒ。

 

【本日の乾杯】ガンバレルーヤよしこに地元の桃を頂戴したので、桃とモッツァレラにオリーブオイルとちょい塩をかけて、おつまみに。桃、めっちゃ甘くてみずみずしくて美味しすぎ。ああ、幸せ。

関連書籍

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。3』

海への恐怖を感じた、初めての遠泳。4人で襷を繋いだ「24時間駅伝」。お見合い旅inマカオ。“初”キスシーンに、“初”サウナ。ドラクエウォークで初めての高尾山。接続できずに大騒ぎのリモート飲み会。拍子抜けだった大腸検査。ブームに乗って、のんびり「おばキャン」、のつもりが……。いくつになってもあさこの毎日は初めてだらけ。

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。2』

セブ旅行で買った、ワガママボディにぴったりのビキニ。いとこ12人が数十年(?)ぶりに全員集合して飲み倒した「いとこ会」。47歳、6年ぶりの引っ越しの、譲れない条件。気づいたら号泣していた「ボヘミアン・ラプソディ」の“胸アツ応援上映”。人間ドックの検査結果の◯◯という一言。ただただ一生懸命生きる“あちこち衰えあさこ”の毎日。

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。』

ぎっくり腰で一人倒れていた寒くて痛い夜。いつの間にか母と同じ飲み方をしてる「日本酒ロック」。緊張の海外ロケでの一人トランジット。22歳から10年住んだアパートの大家さんを訪問。20年ぶりに新調した喪服で出席したお葬式。正直者で、我が強くて、気が弱い。そんなあさこの“寂しい”だか“楽しい”だかよくわからないけど、一生懸命な毎日。

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