「私、自分の事めちゃくちゃ性格が良いと思っていたけど、違うかも」
親友にランチに誘われた二日酔いの私は、祐天寺のオシャキャフェ(お洒落なカフェ)でケールサラダをつついていた。胃にりんごジュースが染みる。
なぜ急に性格が良い人がどんな奴か気になり出したかというと、私は夏が嫌いなのだけど、夏ってさ~~⤵︎~~⤴️??夏祭りだの、海だのクルージングだの花火だのコテージでバーベキューだの、なんか皆楽しそうすぎない!?
インスタグラムのストーリー見てると凹むの。
大人数が苦手だし、普通に人見知りだし、喋れる人見知りだから頑張りすぎて疲れるし、実際そういう夏っぽい現場のお誘いを避けているのも事実。なんだけど、「知り合いクソほどいるはずなのに、誰にも誘われていない!(行かないけど)」といった甘ったれジャイアン思考な私はいじけるわけです。
「タクシー代100万貰えないと帰れない♡」ってゴネて帰らない女がバーベキューに呼ばれてんのに、なぜ!!!俺はバーベキューに呼ばれないのか!?
空気読めるし、運転もできるし、肝臓要員(酒を飲む係)もできる!初めましての人にも優しくできる(はず)よ!?!?こんなに性格良いのに!!!!……あれ、もしかして性格良くないんじゃないか?となった次第だ。
スタイルの良い店員さんが「お前もう食わねえの?」という顔をしている……気がしたので、精一杯の申し訳ない顔をして店を後にする。二日酔いの身体にケールサラダは、染みない。
「性格良くはないかもしれないけど、心を許した人に優しいし、愛情が深いなあって思うよ」
こういう答えづらい質問にもまっすぐ答えてくれるところが、親友の好きなところだ。
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親友の一言もあり、性格良くないという結論に現実としてブチ当たった。
これはもうバーベキューどころじゃないぞ。早急に性格を矯正していかなければならない!
散々アンチに叩かれた時代も、特に傷つくようなことがなかった。会えば絶対に好いてもらえるという根拠のない自信があったから、うざい!だの、死ね!だのなんだの言われても「また~~そんなこと言って♡」くらいにしか思ってなかった。
(ブス!とか外見のことは刺さります。もし私を叩きたいならブスってコメントするのを強くオススメします!)
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そもそも、この人性格が良いなって思う人に出会ったことがない。短所は長所に言い換えられるし、その逆もある。
たとえば”良い人”は”私にとって都合の良い人”にカテゴライズされる。
こういった思考の仕方をしてしまうのは、他人をコントロールしたいという願望があるからかもしれない。「人情がある」とか「愛情が深い」と周りに言われて鵜呑みにして、私は性格がいいと錯覚していた。それはベースに私のことを好いてもらいたいだとか、頼られてうれしいとか下心がギンギンにあるからなんだよね。
自己肯定感が低い人あるあるではないでしょうか。
♡ ♡ ♡
自分は性格が良くないことが判明して検索をかけたら、ポジティブで、愚痴っぽくなく、感謝があり、寄り添ってくれて、気遣いができて、聞き上手な人が性格が良い人らしい。
え~~~~~~私じゃん、と思ったことは置いといて(笑)、性格が良い人っていうのはなんだか搾取されてるように見えた。
誰にもネガティブな話ができず、人の悩みを寄り添って聞き、愚痴も言えず、自分の話を制限し、つまんねークソ飲み会にも「ありがとう」とその場を去る……。そんな奴現実にいるのか?いたとしても素を見せてくれず距離を取られている、という印象を持ちそうだ。
* * *
もしも今後「性格が良いね」と言われたら、「お前は搾取されている側だ」と訳してしまうだろう。私は搾取されるのが大っっっ嫌いなので、この世の81億人みんなに好かれようとするのは無理そうだ。
この世の99.9999%に性悪って呼ばれてもいいから親友や友人たちだけに愛を注ぎたい。
もう、友達でしたっけ?って人のイベントやポップアップに呼ばれても、ちゃんと顔出して申し訳程度にグッズを買ったりもしないし、友達でしたっけ?って人に飲み会に呼ばれて飛んで行かないし、カラオケ歌えって言われても断固として歌ったりしない。
友達でしたっけ?って人にイジられたらへらへら流さずにブチ切れていくし、友達でしたっけ?って人に口説かれても「友達でしたっけ?」って言ってやる。その代わりに、大好きな人たちにはマンションを買い与え、ダイヤモンドを親友の証に贈ってやるくらいの気持ちでいたい。
友達のいない成金港区おじさんの友人構成みたいになりそうだが、もう毎日顔も知らない誰かの誕生日を祝えないことを憂なくて済む。
どうでしょう。性悪で友達贔屓をしますが、今年の夏が終わる前に私と長野あたりでバーベキューでもしませんか。
歌詞には書けない愛の話
シンガーソングライターとして活動するほのかりん。歌という表現を超えて、一人の女性として、心のうちをさらけだす。表現者として新たな挑戦となるエッセイ、新連載!