なにもない部屋に憧れる。
ショールームみたいに白くてつるりとした部屋。
されど、多少モノを処分したくらいでは部屋の景色はほぼ景色は変わらず、
「まーまー捨てたのになんで?」
書類の山を見て首をひねる。
漫画の原画はどうすればいいのだろう。
印刷して本になっているのでもう必要ないっちゃないのだけれど、編集者に聞くと捨てないほうがいいらしい。捨ててOK! とは言いにくいのかもしれない。一応、封筒に入れて保存してある。
確定申告の書類は8年以上前のものは処分していいと税理士さんに言われ、クローゼットの奥でかなりの場所をとっていたファイルを少しは処分できた。しかし、それらを捨てるためのシュレッダーが必要になり、2枚、3枚ノロノロ破棄するのは面倒なので業務用のデカいヤツを買ってしまった。なにもない部屋への道のりがまた遠のいた。
そういえば夏に帰省したとき、あらゆる証書を捨ててきたのだった。母が押し入れにしまっていた箱からわたしのこれまでの卒業証書、なんらかの賞状などなど。母とあれこれ思い出話をしながらビリビリ破いて捨てたひとときもまた、思い出になるのであろう。
捨てたい。
いらない気がするモノ。
普段から部屋は片付いているほうだとは思う。なのに、いらない気がするモノはそこここにあった。
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うかうか手帖
ハレの日も、そうじゃない日も。
イラストレーターの益田ミリさんが、何気ない日常の中にささやかな幸せや発見を見つけて綴る「うかうか手帖」。